研究概要 |
本研究では白金表面におけるCO2分子の活性化をモデルとして、活性化の逆反応で生成し脱離してくるCO2のエネルギー分布から、活性化に必要なエネルギーの態様と反応場の構造を検討した。 1 Pt(110);Pt(110),Ir(110)は(1x1)と(1x2)構造をとり、これらの割合は実験条件により変化する。(1x2)構造では3原子幅の(111)構造のテラスが約±30度傾いている。CO2の反応性脱離は方位[001]、脱離角±26度を指向して鋭く分布した。反応は傾いたテラス上で起こる。CO(a)量を増すと(1x1)構造への変換が進行する。このときのCO2の分布は(1x2)と(1x1)からの寄与の合成と見られる。並進温度は(1x2)上ではテラス垂直方向で最大となり1500Kに達し、角度がズレると急減する。反応場の傾きが速度分布に保存されていることを確認した。(1x1)上では最大並進温度はバルクノ表面垂直方向に見いだされるが最大で1000Kしかない。結論として、小さい吸着量ではテラス上で反応が優先的に進行するが生成分子の並進エネルギーは大きく、CO2の解離には不利である。一方、(1x1)構造では並進エネルギーは小さくCO2活性化では有利であるが、表面構造は不安定である。 2 Ir(110)(1x2);分布はPt(110)(1x2)と殆ど同じでテラス垂直を指向した2方向脱離であり、反応はテラス上で起こる。 3 次年度測定予定のPt(112)(3原子幅の(111)構造のテラスと1原子幅の(100)のステップが連なる階段状表面)、Pt(113)(2原子巾の(111)構造のテラスを持つ)の測定準備は予定通り進んでいる。
|