研究分担者 |
小島 昭 群馬工業高等専門学校, 工業化学科, 教授 (40042593)
青木 利澄 群馬工業高等専門学校, 一般科目(自然科学系), 助教授 (70202471)
橋本 修一 群馬工業高等専門学校, 一般科目(自然科学系), 助教授 (70208445)
大谷 杉郎 東海大学, 開発工学部, 教授 (80008408)
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研究概要 |
1.目的:本研究では、磁性の根源が明らかなトリアリールメタン型高分子磁性体を合成することを最終目標としている。今年度は、(1)高フッ素化トリアリールメタン型樹脂と、(2)フェロセンを含むトリアリールメタン型樹脂のそれぞれの合成条件、構造および分子量分布、磁性などを調べることにした。 2.研究成果 2-2.高フッ素化トリアリールメタン型樹脂:樹脂はトリフルオロフェノールとペンタフルオロベンズアルデヒドとを酸触媒と一緒に130〜160℃で数時間、加熱して合成した。精製樹脂は、5,000をピークとして10,000〜2,000にわたる分子量分布を示すことと、樹脂の繰り返し単位が一種類で分子内および分子間水素結合からなる、目的とする高フッ素化樹脂が合成できたことがわかった。 2-2.フェロセン系トリアリールメタン型樹脂:樹脂は、アズレン(Az)やピレン(Py)とフェロセンカルボキアルデヒド(FCA)の混合物を酸触媒と一緒に加熱して合成した。精製処理後の樹脂の分子量はAz系もPy系もともに約3,000をピークとして10,000〜600に幅広く分布していた。分子イオンの検出結果では、6,000程度までしか検出されなかったが、二種類の繰り返し構造単位からなる混合組成物であることがわかった。VSMを用いた磁気測定の結果では、Az系は常磁性と反磁性の混合物で、Py系は分子量が低いと常磁性を示し、高分子量成分を多く含むときには常磁性成分に加えて、約200Oeの印加磁場で10emu/g程度の樹脂の磁化の飽和現象が観測された。また、4K近くまで冷却すると、完全な磁気ヒステリシス曲線が観測され、磁気特性の温度依存性がはっきりした磁性体ができていることがわかった。 本研究を通して、東大物性研の木下實教授らや、東邦大理の高橋正博士ら、大阪市大理の伊藤公一教授(本重点領域総括責任者)および工位武治教授らとの共同研究が行なわれることになった。
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