研究課題/領域番号 |
04242107
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
林 久治 理化学研究所, 分子光化学研究室, 主任研究員 (50087508)
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研究分担者 |
住谷 実 静岡工科大学, 理工学部, 助教授 (20201585)
中垣 良一 金沢大学, 薬学部, 助教授 (20159057)
秦 憲典 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80082741)
谷本 能文 広島大学, 理学部, 助教授 (10110743)
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キーワード | 磁場効果 / 磁気同位体効果 / レーザー閃光法 / ラジカル対 / ^<73>Ge / 超伝導磁石 / パルス磁石 / 磁場消光 |
研究概要 |
本研究班の研究目的は、外部磁場効果や磁気同位体効果などの、分子磁性による反応制御がどのような新しい反応系に拡張できるかを追求することにある。本年度の研究実績は次の通りである。 林は第3周期以上の原子上に不対電子が存在する重原子ラジカルの液相反応における磁場効果を見いだすことを目的として、ナノ秒レーザー閃光法と超伝導磁石を用いて0-10 T領域の測定を行った。三重項状態を経由する光水素移動反応において、C-ラジカルやS-ラジカルを含むラジカル対の寿命や散逸ラジカルの収量が0-2Tでは増加するが2-10 Tでは減少するという、高磁場に特有な新しい磁場効果を発見した。また、磁気同位体効果を用いて、^<73>Geの濃縮にも成功した。谷本は高スピン状態(S≧1)にある化合物の液相反応において磁場効果を見いだすことを目的として、レーザー閃光法とパルス磁石を用いた0-14 T領域の測定を行った。Briji35ミセル中でのビスジアゾ化合物の光分解反応で生成したラジカルに顕著な磁場効果を観測したが、五重項ビスカルベンの反応か三重項カルベンの反応かは区別がついていない。また、三重項ビラジカルの寿命にも高磁場で同様な新しい磁場効果を発見した。秦と中垣は液相化学反応における左右対称性の破れや磁場による不斉誘導を研究する目的で、アザ芳香族ニトリルと各種の光学活性カルボン酸との光化学反応における反応生成物の磁場効果と不斉誘導の有無を検討している。気相反応の磁場効果に関しては、体系的理解がまだ完成していないので、住谷は気相反応の磁場効果の機構を解明する目的で、NOのB^2P-X^2P発光に対する磁場消光を研究した。B^2P状態の各振動状態へLIF法で直接励起した際の蛍光や衝突消光には磁場効果が観測されなかった。従って、B^2P状態に近接するb^4SIGMA状態が磁場の影響を受けると予想されるので、この状態からLIFを研究中である。
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