私達は ^3Heクライオスタット中0.4〜15Kの温度領域でp-ニトロフェニルニトロニルニトロキシド(p-NPNN)のβ相とγ相の交流磁化率、比熱、M-Hヒステリシス曲線などを測定し、β相は0.6Kで強磁性転移を起こし、γ相は0.65Kで反強磁性転移を起こすことを確認した。また最高2.4キロガウスの磁場中での比熱測定から、γ相が高温磁化率の結果から予想されるとおり、約2K以上でハイゼンベルグ型の一次元強磁性体として振舞うことが確認された。更に私達は元差熱分析によって、β相は93℃でγ相に転移しさらに133℃でβ_h相に転移すること、したがってγ相はβ相の準安定高温相で、ある条件下で徐々にβ相に戻ってしまうことなどを見いだした。これらの実験結果は最近まとめられPhys.Rev.Bに発表した。このほかにp-NPNNに弗素を部分置換によって導入した物質やガルビノキシル-ヒドロガルビノキシル混晶などについても同様の実験手段によって磁気転移の探索をおこなったが、いずれも長距離秩序は確認できなかった。今後、希釈冷凍機を使って測定温度領域をより低温まで広げ、p-NPNNを部分置換して得られる関連物質や新しいラジカル塩について同様な実験を行って新しい強磁性体の探索を行う予定である。
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