研究課題/領域番号 |
04243103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 重樹 京都大学, 理学部, 教授 (20113425)
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研究分担者 |
山辺 信一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00109117)
藤本 博 京都大学, 工学部, 教授 (40026068)
古賀 伸明 分子科学研究所, 助手 (80186650)
永瀬 茂 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (30134901)
笛野 高之 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60029387)
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キーワード | 化学反応 / 電子理論 / 励起状態 / 高周期典型元素 / 遷移金属元素 / 軌道相互作用理論 / ポテンシャル面 / 反応性理論 |
研究概要 |
本研究は、今年度より4年間の計画で開始され、主として、(1)励起状態における化学反応、(2)高周期典型元素や遷移金属元素を含む系の化学反応、(3)新しい軌道相互作用理論の3つの課題について研究を行ってきた。今年度の研究の具体的な成果としては、課題(1)では、励起状態での反応、特に光解離反応を取り扱う上で重要なスピン軌道相互作用の行列要素を求める方法を確立し、H_2O_2やNO_2の光解離反応に適用した。NO_2の反応では、NO( ^2Π)とO( ^3P)に解離する全ての状態に対するポテンシャル面をスピン軌道相互作用の影響を含めて計算し、反応の機構を論じるとともに生成物の微細構造分布を求めた(加藤)。また、H_2NOO( ^2A")の単分子反応経路をMRDCI法により追跡し、H_2NO( ^2A')+O( ^3P)への分解が圧倒的な主反応であることを示した(笛野)。課題(2)では、炭素と同族のケイ素やゲルマニウム等の高周期元素を骨格に持つ芳香族化合物と多面体化合物の電子状態についての計算を行い、芳香族性と歪みの特性、置換基効果およびフラーレン骨格の構造と安定性を明らかにした(永瀬)。また、X_2Zr(C_2H_2)(X=Cl,Cp)とH_2およびSiH_2の反応を理論的に検討し、反応物のZr錯体がメタラシクロプロパンであり、そのZrCσ結合がHHおよびSiHσ結合とσメタセシス反応を起こすことを明らかにした(古賀)。課題(3)では、環化付加反応におけるフロンティア軌道(FMO)相互作用の定量化を目的とし、反応機構が未解明のトロポチオンやケテンの反応を理論的に調べ、これらの分子の反応座標沿いのFMOは、孤立体のものとは異なり、正しく反応性を表現することを明らかにした(山辺)。また、新しい反応性理論を確立するために分子間相互作用の局所的特性を組み入れた反応性の尺度を導入し、酸、塩基など有機化学の基本概念との関連について考察した(藤本)。
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