研究課題
本年度も、引き続き、多くの班員が国内外の国際会議において、4年間にわたった重点領域研究「化学反応理論」によって得られた成果を報告した。また、今年度になっていっそうたくさんの報文が国際誌に発表された。4年間の成果を締めくくり、さらに今後の化学反応理論の発展方向を議論するために6月に名古屋大学名古屋シンポジオンにおいて公開発表会を開催した。班員とその関係研究室の研究者のみならず、関連分野の研究者も多数参集し盛会であった。4年間の研究成果をまとめた400ページを越える「成果報告書」を発行した。この報告書には研究期間における130件以上の国際招待講演、900報の国際誌発表論文のリストも掲載した。日本全国の化学反応研究者に発送し、多くの実験化学者からの反響が寄せられた。本領域研究の成果は次の3点に整理できる。a)化学反応理論の研究の大幅な進展:理論的概念や方法の開発において多くの優れた成果を得た。さらに、近年著しく発展した計算環境を駆使し現実の化学反応系の解析にも成功した。優れた研究成果の多くは、その両者の結合によって得られている。b)理論化学研究グループの成長:化学研究に基礎をおきながらも理論的手法を基本とする研究グループが、各地に小さいながらも成長している。また、多くの研究グループには博士課程の学生が若々しい活躍を始めている。本重点領域研究を契機に、理論化学者のネットワークを確率することが出来た。c)実験化学研究者との共同研究の進展:理論の進展、特に計算環境の改善に伴い理論精度が向上すると共に、実験が進められている系を計算化学の対象とすることが出来るようになり、実験化学者との共同研究が進展した。各種の反応実験、分子分光実験など多くの実験の現場で、理論研究者との共同研究の要請が著しく強くなっている。これらの成果の上にたって今後本研究領域とその関連分野をさらに発展させる方策を検討するために、平尾(東京大学)教授と大峰(名古屋大学)教授を中心に、岩田(分子研)教授、高塚(名古屋大)教授、榊(熊本大)教授、永瀬(都立大)教授などで数回の会合を開いた。その一つの成果として、理論化学研究会を5月に毎年解散する(当面は計算化学シンポジウムと一緒に)ことと、日本化学会の中に理論価格研究会を発足させることを決定した。
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