研究課題/領域番号 |
04244103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
海老沢 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30027453)
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研究分担者 |
舟橋 春彦 京都大学, 理学部, 助手 (00283581)
大竹 淑恵 理化学研究所, 研究員 (50216777)
河合 武 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (20027436)
田崎 誠司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (40197348)
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キーワード | 多層膜ミラー / 冷中性子 / スピン干渉計 / 量子プリセッション / スピンスプリッター / 位相スピンエコー / 量子ビ-ト / RF-フリッパー |
研究概要 |
今年度は5年継続された本研究課題の最後の年度になるが、研究計画は当初の予想を越えて進展したと評価している。本研究の目的は、多層膜ミラーを用いた冷中性子干渉計の開発及びそれを用いた基礎物理的研究である。当初、従来の干渉計のタイプであるMach-Zehnder型の冷中性子多層膜干渉計の開発を目標にしたが、その開発の過程の中で干渉計に関して新しい概念が成長した。それは、中性子波を二つの量子力学的に異なる状態に分波してコヒーレントに重ね合わせるという「量子干渉計」のアイデアであり、従来の空間的に分波する干渉計の原理を拡大したものである。 「量子干渉計」は、その基本装置として冷中性子スピン干渉計として具体化され、様々な新しい量子スピン干渉現象の研究が開始された。本年度以下の研究が達成された。 (1)京大の原子炉、原研の原子炉に異なるスピン固有状態間の干渉を観測するための冷中性子スピン干渉計が設置された。スピン干渉計の応用として以下の新しい研究が行われた。 (2)中性子スピンのプリセッションに関して、新しい原理に基づく「多層膜スピンスプリッター」を用いた「量子プリセッション」のアイデアとその実証。(3)量子プリセッションの応用としての位相-スピンエコー干渉計の開発。(4)スピン干渉計を用いた量子ビ-ト干渉実験法の確立。(5)Larmor clockを用いたトンネリングタイムの測定。 また、今後の研究計画として以下の項目が予定されている。 (1)上記干渉計の応用として、高分解能スピンエコー装置の開発及び冷中性子による遅延選択実験。(2)量子ビ-ト干渉実験によるトンネリングタイムの測定。これは波動関数の直接的な時間情報の取得を意味する。(3)量子ビ-ト干渉実験による中性子に対する微弱な非弾性散乱の測定。(4)スピン干渉実験及び量子ビ-ト干渉実験による物質波の基礎的性質解明。
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