研究分担者 |
室谷 心 徳山女子短期大学, 理工学部, 講師 (70239557)
高原 淑恵 筑波工業高専, 電子情報工学科, 講師 (50216777)
中里 弘道 琉球大学, 理学部, 助手 (00180266)
小林 庸浩 筑波大学, 物理学系, 講師 (10015810)
大場 一郎 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063695)
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研究概要 |
従来「観測問題」は哲学的かつ抽象的な議論が多かったため,現場の研究者からは敬遠されていた.しかし近年の技術革新のおかげで,以前は思考実験でしか考えられなかったような,量子力学の原理的な実験が実現可能になり,興味深い新しい実験と野心的な試行が続出し始めている.これらの原理的な実験素材としては.近年制御技術が大きく進んだ中性子がある. 本研究の特色・独創的点ともいうべきところは第一に理論的基盤である多ヒルベルト空間論的観測理論にあるこれは町田・並木によって提案された観測理論であり,並木・パスカッチオは測定による「波束の収縮」の実現度を判定できる<基準>を定量的なオーダーパラメア-タ(秩序変数)で表すことに成功した.この新形式の特徴は1つのオーダーパラメータで干渉現象から観測・測定過程までを中間的な場合も含めて統一的に取り扱うことができるというところである.また,多ヒルベルト空間論的観測理論はいわばEvent-to-Event Fluctuationsの効果をオーダーパラメータを使って表そうとするものであり,最近の高エネルギー原子核反応の分析で問題になりつつある量子論的な粒子相関における「事象ごとの揺らぎ」に対しても適用を試みており,さらに解析を進めていく計画である. この観点から本年度は,いくつかの検出器モデルを導入して大規模な数値計算を行った。これはこの科研費によて導入されたワークステーションによって実行された.また,ウィーンのRauchグループによって実行に移されるであろう量子力学的ゼノン効果の実験結果に対する理論的解析ならびに,可解なモデルに基づく量子力学的ゼノン効果の生成のメカニズムの解析を行った.さらに,上述の「事象ごとの揺らぎ」の問題の他に,量子論的粒子相関観測から生成されたQGPの時空的広がりを求めることを目指して,その理論整備を行った.以上に加えて,純粋理論的研究として,量子論的揺動の抽象化である確立過程量子化の諸問題を進めた.
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