研究概要 |
1.伊藤(研究代表者)は可積分系の特異点における標恋形の研究を可積分なシンプレクティック写像の不動点のまわりでの標準形について拡張し、特性乗数に関する付加条件のもとで、与えられた変換が自分自身の(不動点における)線形部分と可換になるようにシンプレクティック座標系をとれることを証明し、線形部分と可換という対称性」を持った標準形を得た。 2.また伊藤は可積分系の持つ剛性とでもいうべき性質として、解析的な2次元シンプレクティック変換がMonotoneTwist条件を満たすとき、もし滑らかな第一積分を持つならば、実際には解析的な第一積分も存在しているのではないか?という正則性の問題を考察し、部分的回答として、滑らかな第一積分によって定義される不変トーラスのうち回転数が有理数およびディオファントス数の不変トーラスは実は解析的であり、その上で与えられた変換はそれぞれの回転数の回転に解析的に共役になることを証明した。 3西川(研究分担者)は、非コンパクトなリーマン多様体間の調和写像の存在問題に関して、その典型的な場合として、双曲型空間内の非有界な凸領域間の調和写像の存在問題について研究し、とくにDirichlet境界値問題の解の存在を証明した。 Ω_1⊂D^m,Ω_2⊂D^nをそれぞれm次元およびn次元双曲型空間D^m,D^n内の非有界な凸領域とする。このとき、Ω_1の境界∂Ω_1からΩ_2の境界∂Ω_2への区分的にC^1級な連続写像∫∈C^0(∂Ω_1,∂Ω_2)で適切な境界条件をみたすものは、Ω_1からΩ_2への調和写像u∈C^0(Ω_1,Ω_2)∩C^∞(Ω_1,Ω_2)に拡張できる。とくに、2次元(m=n=2)の場合には、非有界凸領域Ω_1⊂D^2,Ω_2⊂D^2間の区分的にC^1級な同相写像は、領域の内部へ調和微分同相写像として拡張できる、ことを証明した。
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