荒木不二洋は場の理論の解析により研究課題である「作用素の自己準同型と絡み糸の不変量」の研究を進め、局所物理量の理論における対称性と局所作用素環系の選び方についていくつかの定理を証明した。 泉正己は融合律の計算を道具として研究課題である「作用素の自己準同型と絡み糸の不変量」の研究を進め、まず場の理論におけるセクター理論の方法とConnesが導入した対応の概念を使って、必ずしもAFD型ではない一般の因子環と部分環について、主要グラフがA_5の場合には、それが標準形に同型であるというGoldman型の定理を証明した。ここに標準形とは、ある因子環とその上の3次置換群およびその部分群をある2次置群の外部作用による接合積で得られる因子環の含有関係を指す。泉正己はさらに研究を進め、AFDII_1型因子環の部分因子環について、主要グラフがDn^<(1)>のものの同型類の個数がn-2ぶることを示した。この結果は指数4の部分環の完全分類に向かってS.Popaが与えた結果で唯1つ分かっていなかった数を与えたものであり、同時にそのような部分環の同型類が各nについて唯ひとつであると主張したOcneanuの速報結果を否定するものである。またCoxeterグラフE_8についてその平坦性を証明したが、これはOcneanuのバラ群の理論により、AFD型部分環で主要グラフがE_8であるものの存在を保証する結果である。さらに部分環のII型およびIII型主要グラフに関する成果および無限C_*環の部分環で綿谷指数が有限なものとして、Cuntz環の場合を解析した。後者は綿谷指数についての初めての非自明な結果である。
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