研究概要 |
昨年度から引続いて行っているカルモジュリンのNa-Ca交換電流に対する作用について、さらに新しい試みを加え、まとめの作業を行った。これまで、W-7,trifluoperazineなどのカルモジュリン阻害薬を用い、それらが、交換電流を抑制する事を定量的に示したが、それらはNa電流をも抑制することが明かになった。そこで、Na電流に対する抑制効果と、Na-Ca交換電流にたいする抑制効果が、同じ機序によって、起こるのか否かを調べた。Na-Ca交換電流は細胞内のCaのよって活性化されるが、その作用が細胞膜内側をキモトリプシン処理するとなくなることが知られている。そこで、キモトリプシンを電極内にいれ、陽圧をかけて細胞内に流入させ、その後、W-7を投与したところ、W-7はNa電流を抑制したが、Na-Ca交換電流は抑制しなかった。もし、W-7のNa電流とNa-Ca交換電流に対する抑制機序が同じであれば、キモトリプシン処理後もどちらも抑制されるか、抑制されないか同じ結果になるはずである。このことは、W-7の作用部位が交換電流とNa電流で異なっていることを示唆する。さらにW-7のNa-Ca交換に対する作用部位が細胞内側に存在することをも示唆している。もう一つのカルモジュリン阻害薬CGS9343Bは細胞外から、Na電流を抑制したが、細胞内潅流法では、抑制されなかった。このことから、カルモジュリン阻害薬のNa電流に対する作用部位は、細胞膜の外側に存在する可能性が強い。これらの結果は、これまでの結果と合わせて論文にまとめ、現在投稿中である。
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