1.遅延整流型K^+チャネル(KV1.5)全遺伝子構築と転写調節機序:我々が単離したKV1.5のcDNA断片をプローブとしてラット全遺伝子ライブラリーより約18Kbの長さのクローンを単離した。Southern blot法により制限酵素地図を作製し上流・下流の塩基配列を決定した。Primer extension法およびPCRを用いたrapid amplificaion of 5'cDNA end(RACE)法を利用しこの遺伝子はintronlessでsingle exonとして存在し3カ所の転写開始点を持った。上流部には典型的TATAやCAAT配列はなくこれが心筋での 低発現量や複数の転写開始点を説明すると考えられた。一方、上流域にはTGACGTCAから成るcAMP response element(CRE)が存在したため我々は新生児ラット培養心房細胞を作製しKV1.5mRNA量に対するcAMPの影響を検討した。dibutyryl cAMP(1mM)添加後1時間より有意増加があり4時間後には約4倍の頂値を取り以後漸減した。cMAPの刺激がCREを介する転写段階で働く事を検討するためCREを含む上流域と含まない上流域をCAT reporter geneに連絡しC2C12筋細胞に導入しcAMP効果をしらべると後者ではcAMPによるCAT活性の刺激は観察されなかった。現在in vito mutagenesisでmutationをCRE内に作成しさらに詳細にこのmotifの役割を検討中である。 2.A type K^+チャネル(KV1.4)遺伝子のmRNA調節:KV1.5遺伝子がcAMPで転写調節される事はK^+チャネルの発現が恒常状態にない事を示唆する。我々は新生児ラット培養心室細胞を利用しRT-PCR法にてKV1.4のmRNA量の調節を検討した。cAMP上昇はmRNA量に変化を与えないがBAY-K8644およびTPAにより約3倍上昇した。これらの結果は細胞内Ca^<++>上昇およびprotein kinase C活性化がKV1.4発現に重要でありKV1.5のcAMPによる調節と合わせて心筋Shaker K^+ channelsの発現は復雑である事を示唆する。
|