研究概要 |
心筋におけるnexusはelectrical cell-to-cell couplingの場として細胞間興奮伝導に重要な役を果たしていることは強く示唆されている。しかし、nexusの電気的抵抗と興奮電導速度との関係を実測から論じたものはなかった。本研究では、動物(イヌ)の摘出心筋の多細胞標本において、impedance法によりnexus抵抗(Rj)を直接求め得ることせ実証し、これと伝導速度(θ)へのC-AMP,ouabain,heptanolなどの影響から、θ=k_1+k_2√Rj(r=0.9923)の関係があることを明らかにした。本年度は特に、不整脈の発生消退におけるnexus抵抗の意義について追究した。nexus channelを構成するconnexinに働き、channelを可逆的に、閉鎖させるこにが認められているheptanolは、2〜3×10^<-3>Mでは活動電位のVamxを抑制する(せいゼい20%)よりも、θを著明に抑制(70%〜80%)する。このときRjは、約2.5%倍に上昇させることが前式により想定された。octanolも同濃度で同様の効果を示した。家兎右心室Purkinje線維において、aconitine誘発細動(fibrillation,高頻度不規則放電)では約300μm離れた細胞間で相互干渉がみられた。この時相でheptanolやoctanolを上記濃度で作用させたとき、fibrillationは粗動(flutter,高頻度規則性放電)に移行した。またflutterの時相でhepnotalやoctanolを作用させたとき、一過法のfibrillationが出現し、のちflutterに移行した。heptanolやoctanol作用後らflutter時の伝導速度は、作用前の1/10程度に減少していた。これらのことから、心筋作動の起因となる不完全伝導遮断や緩徐伝導(slowconduction)に基づくre-entryは、200〜300μm離れた細胞間でも発生していることが示唆された。
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