研究分担者 |
飯田 静夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00009987)
芝 哲夫 蛋白質研究奨励会, ペプチド研究所, 所長 (30028089)
鈴木 明身 (財)東京都臨床医学総合研究所, 生体膜, 部長 (70134533)
安藤 進 (財)東京都老人総合研究所, 生体膜, 部長 (30073000)
斎藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
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研究概要 |
本研究は分子生物学的アプローチが従来困難であった生体成分で,かつ生体膜必須成分である複合糖質の一分子群,ガングリオシドにスポツトをあて,「ガングリオシド糖鎖の生理活性」「神経系の機能調節」「糖鎖遺伝子と発現制御」「糖鎖認識プローブの開発」「糖鎖の化学合成」という5班に分かれ,各々の分野の第一人者による総合的研究を展開した.班員間の連絡を密に保ち,また共同研究の芽が出るように総括班としては年2回の公開シンポジウムと班会議を開催した.さらに班員相互の交流を図る場としてニュースレター「ガングリオシド」を年4回発行するとともに,手技手法の相互利用を目的として平成4年度研究成果報告集を発行した.各班員の努力には目ざましいものがあり、数々の成果を上げることができた.公開シンポジウムは一般参加者を含めて各回とも200人をこえ盛会であった.米国より,糖鎖研究の分野で一線の研究を行っているチューレン大学Yuh-Teh Li教授,スクリプス研究所Chi-Huey Wong教授を招へいし,講演を行うとともに,班員あるいは総括班員と討論し,今後の方向性と現況の反省が行われた. 研究成果としては,神経細胞レベルでの記憶機序として注目されているシナプス長期増強がガングリオシドによって誘発されることが判明した.これは老令脳の可塑性を高めるためにガングリオシドを応用する明確な根拠になるものと期待される.シアル酸の2-SMe体をシアル酸ドナーとしてDMTSTやNISを縮合剤とする新たなグリコシル化反応が開発され,α-配糖体を選択的に,系統的且つ大量に合成し得る合成法に成功した.これらの合成技術の確立は,本研究の終極の目標である「ガングリオシド糖鎖の生物情報の解明」に極めて重要な,大きな成果である.最近では,N・アセチルガラクトサミン転移酵素,N-アセチルグルコサミン転移酵素IVのクローニングに成功した.
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