研究概要 |
沖縄産のヒラムシに共生する渦鞭毛藻<Amphidinium>___- sp.の培養藻体より分離したマクロリド化合物のうち、L1210ならびにKB細胞に対して顕著な殺細胞活性を示したAmphidinolide B,C,GおよびHについて、in vivoでの抗腫瘍活性を検討した結果、Amphidinolide CとHのP388担がんマウスに対するT/Cは140%(100〜200μg/kg×2day)であった。Amphidinolide CとHは、それぞれ25員環および26員環の特異な構造を有するマクロリド化合物であり、その構造に由来したユニークな作用機序が期待される。また、この共生藻より、in vitroにおいて殺細胞活性を示した新規15員環マクロリド化合物としてAmphidinolide Jを単離し、化学反応と2次元NMRにより絶対立体配置を含めた化学構造を明らかにした。一方、群体ボヤ<Eudistoma>___- cf.<rigida>___-より単離した24員環マクロリド化合物Iejiamlide Dは、P388担がんマウスに対してT/C150%(100μg/kg×2day)の値を示した。Iejimalide Dは、上記のAmphidinolide類とは全く異なり、硫酸基を有するポリエンマクロリド化合物であることから、この化合物についても従来とは異なった制がん機構が期待される。さらに、2種の<Hippospongia>___-属の海綿より単離したテルペン化合物Metachromin AとUntenospongin Bは、プロテインキナーゼCとチロシンキナーゼに対してそれぞれ阻害作用を示した。沖縄で採取した海綿やホヤなどの41種の海洋無脊椎動物より、112株の細菌を分離した。これらの菌株の培養液のクロロホルム可溶画分について、L1210およびKB細胞に対する殺細胞活性を調べた結果、数種の菌株に殺細胞活性が認められた。
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