研究概要 |
海洋共生藻Amphidinium sp.より単離した新規マクロリド化合物Amphidinolide JおよびKの、マウス白血病細胞L1210およびヒト上皮がん細胞KB対するIC_<50>値は1.7〜3.9μg/mLであった。一方、沖縄産の数種の海綿より単離した新規化合物(Jaspisamide A-C,Onnamide類,Ascididemin類縁体,Theonezolide A)はL1210ならびにKB細胞に対して顕著な殺細胞活性を示した(IC_<50>,0.001-0,75μg/mL)。海洋細菌Alteromonas sp.から単離した新規マクロラクタム化合物Alteramide Aならびに海綿Xestospongia sapraより単離した5環性キノン化合物XestoquinoneにトポイソメラーゼIに対する顕著な阻害活性が認められた。ホヤAphidium multiplicatumより単離した新規ヌクレオチド誘導体Shimofuridin AはプロティンキナーゼCに、海綿Prianos melanosより単離した新規6環性アルカロイドPrianosine Aは、チロシンキナーゼに対してそれぞれ阻害活性を示した。海綿Hippospongia sp.より単離した新規フラノテルペン化合物Untenospongin Bはcdc2キナーゼに、ホヤCystodytes dellechiajeiより単離した新規4環性芳香族アルカロイドCystodytin AにはP-糖蛋白質の機能阻害作用がそれぞれ認められた。日本産イチイTaxus cuspidataの枝部の抽出物より単離した新規タキサン型ジテルペンTaxuspine'A-Cには、P-糖蛋白質の機能抑制作用が認められ、TaxuspineBとCはベラパミールと同程度の作用を示した。以上結果から上記の関連化合物の中からトポイソメラーゼや種々のキナーゼに対してより優れた阻害活性を示す化合物を開発できるものと期待される。また、制がん剤の多剤耐性克服薬のリード化合物としてタキサン化合物が有望であることが見い出された。
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