研究概要 |
P4501A1遺伝子の転写制御に働く主な2つの領域BTEとXREに働く因子のcDNAクローンを得ることが出来た。今年度の報告は各々のcDNAを、RSVあるいはCMVのプロモーターに結合して発現ベクターを構築し、培養細胞CV-1にリン酸カルシウム法によって導入してその活性について検討したものである。またXREに結合する因子(Ahリセプター)については他の研究グループによって単離されたAhセプターがTCDDなどのリガンドと結合することによって核へ移行する時に働らくことが示唆されているArnt(Ahreceptor nuelear translocator)のcDNAも単離し、これをRSVあるいはCMVのプロモーターに結合して、Ahリセプターと共に発現させて相互作用について若干の知見を得ることができた。BTEに働く因子はSp1,BTEB,BTEB2の3種の蛋白質のcDNAが得られ、各々788,244,219個のアミノ酸からなっておりDNAと結合するドメインの亜鉛フィンが一構造に高いホモロジーが認められるだけでその他は殆んど類似点は認められない。Sp1はよく研究されGlu-richな部分が転写活性化ドメインであることはよく知られているが、BTEBはN末端付近に存在するやや疎水性のアミノ酸配列をもった2か所が活性ドメインであること、BTEB2についても約クロアミノ酸からなる領域に活性化ドメインがあることがわかった。XRE結合因子についてはAhリセプターとArntの抗体を作製し、ゲル易動度シフト法で検討したところ、XRE結合因子は少くともAhリセプターとArntを含んでいることが明らかになった。一方細胞質にAhリセプターとArntは存在するがリガンドしないと両者は複合体を形成しないが、リガンドを加えると両者は複合体としてDNA結合能を示すことが示唆された。CV-1にAhリセプターとArntを共に発現させると各々を単独で発現させた時よりも高い転写活性化能があることが示された。
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