研究課題/領域番号 |
04253222
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
羽倉 明 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00029779)
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研究分担者 |
井上 正樹 大阪大学, 医学部, 助手 (10127186)
近藤 玄 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (40243258)
湯通堂 満寿男 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (70135747)
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / がん遺伝子 / 子宮頚癌 / トランスフォーメーション / トランスジェニックマウス / 睾丸腫瘍 / 転写抑制 / がん抑制遺伝子 |
研究概要 |
本年度は子宮頚癌に関係するHPV16型及び18型のがん遺伝子機能とその発現に関与する細胞側因子の解析を行い、以下の結果を得た。 1)HPV16型E6E7遺伝子を導入したtransgenic mouseの解析:すでに作成しているtransgenic mouse274系及び181系につき解析を行い、274系雌マウスの77%でその子宮・腟上皮に前癌病変が出現すること、その他睾丸(67%)唾液腺(45%)皮膚(9%)などに腫瘍などが発生することを認めた。また、274系に発生する睾丸腫瘍や唾液腺腫はより悪性化しやすいことを明らかにした。また、上記解析を通して、これら腫瘍の発生にはE6E7遺伝子の転写の活性化と同時に細胞側遺伝子の変化が重要であることを示した。 2)HPV16型の初期遺伝子発現に対する細胞側因子の解析:HPV感染のtarget細胞であるkeratinocyteにIL6などが多量に産生されていることに着目し、IL6の転写活性因子であるNF-IL6がHPV16型の転写にどのような影響を及ぼすかを検討した。その結果、NF-IL6はHPV16型の転写調節領域(NCR)に作用し、HPVの初期遺伝子の発現を抑制し、その抑制機構は細胞側転写活性因子(NF-1、AP-1)とのcompetitionによることを明らかにした。 3)HPV関連がん抑制遺伝子の分離:われわれは先にトラやラットの初代培養細胞中にはHPVE6E7遺伝子のtransform活性をE6E7遺伝子の翻訳以後の段階で抑制する遺伝子が存在することを示し、同抑性遺伝子の単離を試みつつある。現在までにE6E7によってtransformしたラット3Y1細胞(T3Y1)にラット初代培養細胞のcDNA libraryを導入し、flat revertantを49クローン分離した。このうち、軟寒天培地中で安定な非transform形質を示し、E6E7mRNAレベルがT3Y1とほぼ同じ値を示しT3Y1との体細胞融合試験で非transform形質を示すrevertantクローンを10種類得ることに成功した。現在marker rescue法により形質導入したcDNA plasmidを回収し、その性状を検討中である。
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