研究課題/領域番号 |
04253223
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡山 博人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40111950)
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研究分担者 |
小野 泰子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務員 (70194602)
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30156195)
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キーワード | 発癌遺伝子 / シグナル伝達経路 / 癌化シグナル / raf-1キナーゼ / MAPキナーゼ / MAPキナーゼキナーゼ / EF1-α |
研究概要 |
ラット線維芽細胞変異株を用いたこれまでの研究から、細胞内に増殖因子EGFとPDGFによる刺激を伝達する共通の経路があり、この経路がほとんどの発癌遺伝子による癌化シグナルを伝達する経路であることを明らかにした。更に昨年度、この経路の下流でc-raf-1キナーゼがシグナル伝達因子として介在していることを明らかにした。最近、c-raf-1の下流の伝達因子としてMAPキナーゼキナーゼ-MAPキナーゼの経路が示唆されている。そこで、この経路が癌化シグナルの伝達に係わっているか否かを明らかにするために、c-raf-1のアンチセンスRNAを発現しRaf-1キナーゼ蛋白の産生を低下させた細胞株(RCR)を作り検討したところ、癌化が抑制されたRCR株でも種々の発癌刺激に対して野生株と比較して反応が低下しているもののMAPキナーゼの活性化が起こること、更に、癌化を起こさない血清による増殖刺激でも同様に活性化が起こることから、MAPキナーゼの経路は、c-raf-1からの刺激を受けるにも係わらず、癌化のシグナルの伝達経路ではないと考えられた。現在、c-raf-1の下流因子を探索中であるが、MAPキナーゼキナーゼに類似したキナーゼの遺伝子を単離した。このキナーゼが癌化のシグナルの伝達に関与しているか否かを検討中である。 一方、BALB/c3T3には、化学発癌剤に対して高感受性を示す親株と低感受性を示すヴァリアントが存在する。cDNA発現クローニング法を用いて高感受性を決定している遺伝子を単離したところ、蛋白合成に必須なEF1-αであることが判明した。細胞が増殖を停止し静止期に入ってもEF1-aの発現が停止せず増殖にコンピテントな状態にあることが高感受性の原因であることが解かった。これは、多段階発癌のメカニズムを理解するうえで極めて重要な知見と思われる。
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