研究課題/領域番号 |
04253228
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片岡 徹 神戸大学, 医学部, 教授 (40144472)
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研究分担者 |
片岡 有里子 神戸大学, 医学部, 助手 (50233739)
鈴木 昇 神戸大学, 医学部, 助手 (00202135)
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キーワード | rasがん遺伝子 / ras蛋白質 / アデニル酸シクラーゼ / GTP結合蛋白質 / 出芽酵母 / シクラーゼ結合蛋白質 / CAP / C.elehans |
研究概要 |
研究はほぼ計画どおり進行しており、既にras蛋白質と出芽酵母アデニル酸シクラーゼの相互作用における両者の構造要求性をほぼ解明し、より高等な動物でのrasのエフェクターの候補者を同定した。 1.アデニル酸シクラーゼとの相互作用におけるras蛋白質の翻訳後修飾の影響を検討するために、ras2蛋白質の種々の修飾中間体を精製し、アデニル酸シクラーゼの活性化能力を調べた。その結果、ras2のファルネシル化はシクラーゼに対する親和性を約100倍上げる事が判明した。従来、rasの翻訳後修飾は膜局在化の為に重要と考えられていたが、本研究により翻訳後修飾、特にフアルネシル化がエフェクターとの親和性を飛躍的に増大させる事が初めて証明された。 2.アデニル酸シクラーゼ結合蛋白質のシクラーゼ上の結分部位を決定し、CAPを結合しないシクラーゼ変異体を作製して解析した所、CAPはシクラーゼのras蛋白質との反応性には関与していないが、染色体上シクラーゼ遺伝子をCAP非結合型変異体で置換した酵母は活性型ras2^<Ual19>遺伝子存在下でも活性型rasによる異常な形質を失い正常に戻っていた。この結果は、エフェクターの結合蛋白質を解離させる事により、ras蛋白質との反応性を保持したままで、活性型ras2^<Ual19>の作用を抑制できる事を示す。 3.昨年度までの研究で出芽酵母アデニル酸シクラーゼ中の23アミノ酸を単位とする反復配列(Leucine-rich repeats)構造がras蛋白質との相互作用に必須であると結論した。今回、線虫C.elegansのゲノム中に上記repeats構造と強い相同性を有する蛋白質をコードする遺伝子を発見した。同蛋白質は1256アミノ酸より成り、N末390アミノ酸が典型的なLeucine-rich repeatsより構成され、中間部約400アミノ酸がアクチン鎖切断蛋白質ファミリーのヒトのゲルゾリン、C末400アミノ酸が同ファミリーのビリンと強い相同性を有していた。従来、ras蛋白質とアクチン細胞骨格の関 係が示唆されているので、我々の発見した蛋白質が線虫におけるrasのエフェクター蛋白質の一つである可能性が高いと考えられる。
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