研究概要 |
(a)nm23遺伝子 (1)nm23ゲノム遺伝子:ヒト及びマウスnm23ゲノム遺伝子(nm23-H1,H2及びM1,M2)を単離し、その構造を決定するとともにプロモーター領域を解析した。各々2つのisotypeが同一遺伝子上にタンデムに配列していた。また、全てのisotypeは5つのエクソンからなりそのスプライシング部位はよく保存されていた。 単離したゲノム遺伝子のエクソン4、5間のspecific probeを用いて、nm23遺伝子のallelic lossについて検索した。ヒト大腸癌症例において29例中3例にLOHを認め、このうち1例に肝転移を認めた。LOHを有する症例と有しない症例のnm23-H1の発現には良い相関性が認められた。 (2)nm23-H1 isotypeの発現による血球細胞分化の調節:nm23-H1遺伝子cDNAをヒト血液細胞株MEG-01及びK562に導入することにより、前者の導入細胞では分化の抑制が、また、後者の遺伝子導入細胞では分化の促進が認められた。 b)beta1,4GalNAc-T遺伝子 (1)癌細胞転移におけるガングリオシドの関与:GM3のみを発現するマウスメラノーマB16にbeta1,4GalNAc-T cDNAをトランスフェクトし、新たにGM2を発現する細胞株を得た。細胞外基質ファイブロネクチン、IV型コラーゲン、及びラミニンに対する接着能を比較検討したところ、GM2発現細胞群は非発現株に比し、いずれの基質に対してもより高い接着能を示し、GM2分子がメラノーマの接着を増強していることが示唆された。
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