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1993 年度 実績報告書

糖鎖抗原の癌性変化とその臨床応用に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 04253245
研究機関愛知県がんセンター

研究代表者

神奈木 玲児  愛知県がんセンター, 研究所病理学第二部, 部長 (80161389)

キーワード細胞接着 / 糖鎖抗原 / 成人T細胞性白血病 / シアリルSSEA-1 / シアリルLe^a / セレクチン
研究概要

細胞の悪性化にともなう細胞表層の糖鎖抗原の変化とその生理的意義を解明し、ヒト癌の診断と治療への応用の基礎を築くことが本研究の目的である。細胞表層の糖鎖抗原の生理的機能は細胞間接着・相互認識であると考えている。セレクチンとその糖鎖リガンドを介した接着は、癌の血行性転移において、悪性細胞の血管内皮細胞への接着のステップで重要な役割を果たす事が明らかになってきた。
セレクチンを介した細胞接着は、癌の血行性転移において、癌細胞の血管内皮細胞との接着に関与している。血管内皮細胞に発現されたE-セレクチンに、リガンド糖鎖であるシアリルLe^aやシアリルLe^aを発現する癌細胞が接着して、癌細胞の血管壁への着床が成立する。我々は、In vitroの細胞接着実験で、ヒト癌細胞とヒト培養血管内皮細胞との接着を検討し、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌、肺癌、卵巣癌を含むほとんどの上皮性の癌細胞の血管内皮細胞への接着が、セレクチンを介していることを見いだした。
さらに我々は、末梢のリンパ球のうち、ヘルパーT細胞に属するメモリーT細胞の一部が、現在までよく使われている抗シアリルLe^x系抗体(FH-6やSNH-3)と反応する抗原を発現されていないものの、単クローン抗体2F3と反応し、バリアント型シアリルLe^x抗原を発現している事を見いだした。このバリアント型シアリルLe^x抗原は、リンパ性白血病細胞ではほとんどの白血病細胞が陰性であるが、ATLの白血病細胞にはしばしばあらわれる。
成人T細胞性白血病の悪性細胞でのバリアント型シアリルLe^x糖鎖の発現は、臨床的な白血病細胞の皮膚浸潤の所見と相関していることが認められた。皮膚浸潤のある群とない群とでは、バリアント抗原の陽性率に有意差がみられた。このため、特にバリアント型抗原と皮膚浸潤との間に特別の関係があるものと我々は考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Sawada,M.,他: "Specific expression of a complex sialyl Lewis X antigen on high endothelial venules of human lymph nodes:Possible candidate for L-selectin ligand." Biochem.Biophys.Res.Commun.193(1). 337-347 (1993)

  • [文献書誌] Yago,K.,他: "Immunoglobulin variable region sequences of two human monoclonal antibodies directed to an onco-developmental carbohydrate antigen,lactotetraosylceramide(LcOse_4Cer)." Mol.Immunol.30(16). 1481-1489 (1993)

  • [文献書誌] Ohmori,K.,他: "A distinct type of sialyl Lewis X antigen defined by a novel mono-clonal antibody is selectively expressed on helper memory T cells." Blood. 82(9). 2797-2805 (1993)

  • [文献書誌] Takada,A.,他: "Contribution of carbohydrate antigens sialyl Lewis A and sialyl Lewis Xto adhesion of human cancer cells to vascular endothelium." Cancer Res.53(2). 354-361 (1993)

  • [文献書誌] Ohmori,K.,他: "Differentiation-dependent expression of sialyl SSEA-1 and I-antigens on human lymphoid cellsand its implications for carbohydrate-mediated adhesion to vascular endothelium." Blood. 81(1). 101-111 (1993)

  • [文献書誌] Yago,K.,他: "Expression of alpha(1,3)-fucosyltransferases which synthesize sialyl Le^x and sialyl Le^a,the carbohydrate ligands for E-and P-selectins,in human malignant cell lines." Cancer Res.53. 5559-5565 (1993)

  • [文献書誌] 神奈木玲児: "第3章.癌と糖鎖異常,3,4,抗糖鎖抗体による癌の診断、治療“グリコバイオロジー・シリーズ第6巻,グリコパソロジー"(箱守山仙一郎編)" 講談社,東京, 43 (1993)

  • [文献書誌] 神奈木玲児: "第5章 細胞における情報伝達と複合糖質、糖鎖とセレクチンを介した細胞接着“最新医学からのアプローチ:複合糖質"(神奈木玲児編)" メジカルビュー社、東京, 12 (1994)

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公開日: 1995-03-23   更新日: 2016-04-21  

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