研究課題/領域番号 |
04258219
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
栗山 欣弥 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20079734)
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研究分担者 |
大熊 誠太郎 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30152086)
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キーワード | アストログリア / アシドーシス / グルタミン酸 / グルタミン / pH変化 / NGF / NGF・mRNA / 脳虚血モデル |
研究概要 |
アストログリアにおいて多く産生される神経成長因子(NGF)は、脳虚血に伴う神経細胞死、特に遅発性神経細胞死の発生を抑制することが知られているが、NGFがこれらの虚血部位のアストログリアでどの様な動態を示すのかは知られていない。一方脳虚血時には、虚血部位にアシドーシスが起り、またグルタミン酸が高濃度に検出され、このグルタミン酸が神経細胞死の発生に重要な役割を演じていることが最近明らかになっている。アストログリアはグルタミン酸-グルタミン回路を介して細胞外液中のグルタミン酸を除去する働きを有している。従って本研究では、初代培養を4-6週間継続したアストログリアを用い、アシドーシスと類似の条件下、すなわちpH6.5に24時間曝露した場合、位相差顕微鏡上、軽度の空胞形成が細胞体に認められたが、LDHの細胞外漏出や、[^<14>C]3-メチル-O-グルコースによる測定した細胞内液量には、著変は認められなかった。[^3H]グルタミン酸のアストロサイトへの取り込みはpH低下に依存して減少したが、この低下は培養液のpHを7.4に戻すと、3時間でpH7.4の培養液に曝露したアストロサイトで認められた値に近い数値に戻るのが認められた。また細胞外液中に添加した[^<14>C]グルタミン酸の[^<14>C]グルタミンへの変換も、pH6.5の培養液への曝露により有意に低下したが、培養液のpHを7.4に変えることにより、この代謝転換率の低下は消失した。従って虚血病態下での病巣部位における速やかなアシドーシスの補正は、過剰に放出されたグルタミン酸の除去を介して神経細胞死の進展阻止に有用であると考えられる。現在、この実験系を用いて、NGFの産生やNGFのmRNAのレベルがどの様な変動を示すかを検討中である。
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