研究概要 |
トウモロコシを材料として,光合成型フェレドキシン(FdI)と非光合成型フェレドキシン(FdIII)のプラスチドへの移行過程を解析した。 1.FdIの延長ペプチドは52残基のアミノ酸,FdIIIのそれは55残基のアミノ酸より成り,両者の一次構造には明確な相同性は認められない。 2.緑葉からクロロプラスト,黄化葉からエチオプラストを単離し,in vitroで合成したFdI及びFdIII前駆体プラスチドへの移行実験を行った。FdIはクロロプラストへ,FdIIIはクロロプラストトエチオプラストへ効率良く移行することが観察され,Fdの輸送に関してプラスチドの特異性が存在していることを示唆した。 3.クロロプラストに比べ,エチオプラスト内では,Fdポリペプチド鎖と鉄・硫黄クラスターのアセンブリーが非常に効率よく起こることが見い出された。 4.成熟体型領域の特定アミノ酸残基を改変することにより,プラスチド膜を透過するけれども鉄・硫黄クラスターのアセンブリーが起こらなくなった変異体Fdを作成した。膜透過とクラスターアセンブリーを独立に解析できる実験系を作ることが可能となった。 5.上記1,2で観察した現象を確認するためFdIとFdIIIの延長ペプチド領域を相互に入れ換えた変異体分子を作製中である。
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