これまでの検討からアクチビンAが血管平滑筋細胞の増殖に対し、二面的、すなわち増殖促進的、および増殖抑制的に作用することを明らかにしてきた。このような事実からアクチビン作用の意義を解明するためには局所における産生を明らかにする必要があると考えられた。そこでこの点を明らかにすめためにまず血管平滑筋細胞においてアクチビンが産生されるかを検討した。この目的のためにアクチビンの生活活性を測定する実験系を確立した。アクチビン活性は赤白血病細胞の分化誘導能を指標として測定した。その結果、増養血管平滑筋細胞の培養上清中にアクチビンの生物活性が存在することが明らかになった。アクチビン活性は平滑筋細胞を血小板由来成長因子(PDGF)で刺激すると上清中に出現し、PDGF刺激の10時間後にピークをとった。同時にアクチビンのBAサブユニットのmRNA発現をリボプローブプロテクション法によって測定するとやはりPDGF投与の10時間後にmRNAはピークとなった。増殖促進活性をもたないアンギオテンシンではmRNA発現は認められなかった。そこで実験に平滑筋で産生されるアイチビンがどのような意義をもつかを知る目的で、アクチビン作用をナロックするフォリスタチンの効果をみた。PDGFとともにフォリスクチンを投与して内因性アクチビンの作用をブロックするとPDGFの増殖促進はさらに上昇した。したがってアクチビンは平滑筋細胞においてオートクリン抑制因子として作用している。
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