本年度は、共生種にサンゴガニ類の生活史の解明、白化したサンゴ群体に棲息しらいる共生動物の特徴をさらに解明すること、及びオニヒトデが存在しない地域でのハナヤサイサンゴ共生動物相の解明を試みた。、毎月サンプリングしたハナヤサイサンゴ群体から得られたサンゴガニ類のサイズ分布から、1)全ての種が周年繁殖していること、2)若令個体が周年観察される種と特定の時期に観察される種に分ける事が可能であること、が明らかになり、それぞれの種は時期を変えてサンゴ群体に侵入していることが示唆された。種間関係は前年度までの研究で特に抱卵個体は他個体を排斥する傾向が強いが、その他は明瞭な種の順位関係は認められず、大型個体が小型個体を排除する傾向があることが明らかになった。又抱卵率も月により変化し、抱卵していない大型雌が観察されない時期がどの種にも存在した。以下の結果、何れの種も1年の内のどこかで群体に定着、侵入が可能であると結論された。白化した群体上には大型個体が存在せず、若令個体のいち早い侵入が認められた。しかも、通常より小型のサイズで成熟し、抱卵することが確認され、競争相手が存在しない場合、次世代をつくるためにより多くのエネルギーを費やすことが可能であることが示唆された。オニヒトデが存在しない熊本県の水域でハナヤサイサンゴを採集し、共生種の構成を調ベた。サンゴガニ類は3種確認されたがそのうち1種は希であり、沖縄での調査結果同様、小型群体には1種類の雌雄のペアが棲んでいた。しかしながらそのサイズ化組成、サンゴ群体とカニとの大きさの関係などにおいて、従来得られている沖縄での報告と異なる可能性が示唆されているので、今後検討したい。
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