研究課題/領域番号 |
04265202
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水柿 道直 東北大学, 医学部附属病院, 教授 (60004595)
|
研究分担者 |
菱沼 隆則 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (20199003)
|
キーワード | エイコサペンタエン酸 / プロスタサイクリン / PGI_3 / Δ^<17>-6-keto-PGF_<1α> / 糖尿病 / GC / MS |
研究概要 |
機能性食品として注目されるエイコサペンタエン酸(EPA)及びその代謝産物の定量的評価法の確立と、生理的意義の解明を目的として、以下の検討を行った。 3型のプロスタサイクリンの体内動態を解析する指標として、プロスタグランジンI_3(PGI_3)の安定代謝体Δ^<17>-6-keto-PGF_<1α>の大量分取を行った。同化合物の ^<18>O標識化を行い、得られた ^<18>O標識体を内部標準物質として用いる、Δ_<17>-6-keto-PGF_<1α>のGC/SIMによる超微量定量法を開発した。さらに、本方法を用いて血管内皮細胞のPGI_3産生能と糖尿病患者血清の添加効果の検討を行い、糖尿病時のEPA摂取効果の評価を行った。 血管内皮細胞のEPA変換能と、EPAの変換に及ぼす健常人並びに糖尿病患者血清の添加効果並びにEPA添加効果を検討した結果、(1)確立したΔ^<17>-6-keto-PGF_<1α>の超微量測定法は、3型プロスタサイクリン産生量の解析に有用であること、(2)EPA添加培地を用いた培養により、血管内皮細胞が3型プロスタサイクリンを産生すること、(3)ヒト血清の添加により、2型のみならず3型プロスタサイクリンの産生能が上昇すること、(4)糖尿病患者血清は2型及び3型プロスタサイクリン産生能を有意に抑制すること、(5)糖尿病患者血清の添加時においても、EPAを添加することにより、プロスタサイクリンの産生量を健常人血清添加時のレベルに維持できること、等を明らかにした。 プロスタサイクリンは、抗血小板凝集作用を有することが知られている。糖尿病患者血清が血管内皮細胞のプロスタサイクリン産生能を抑制するという事実は、糖尿病患者における血栓形成促進の一因をなすものと考えられた。また、そのプロスタサイクリンの産生抑制をEPAの添加(摂取)により産生される3型プロスタサイクリンで補うことが可能であることが示された。
|