研究分担者 |
宮武 正 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (50048998)
大木 操 埼玉県立がんセンター研究所, 血清ウイルス部, 部長 (00158792)
田平 武 国立精神神経センター, 神経研究所, 部長 (80112332)
吉川 和明 (財)東京都神経研, 分子神経生物学研究部門, 副参事研究員 (30094452)
榊 佳之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10112327)
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研究概要 |
家族性アルツハイマー病(FAD)については,APP遺伝子についての詳細な解析を行い,このうち最も大きい1家系について患者APP遺伝子の全エキソンの塩基配列の解析を終え,APP遺伝子には変異を認めず原因が他の遺伝子にあることを証明した.わが国でこれまで見いだされたAPP遺伝子に717Val→Ile変異を有する全家系5家系について連鎖不平衡が認められないことから,この変異は独立に生じたものと考えるのが妥当であると結論した.第21染色体のNotI制限酵素地図が完成し,現在YAC,P1クローンを用いてコンティーグ化が進行中である.また,第21染色体から新たな3種類の遺伝子が単離された.40才以降のダウン症の脳において,APP751と4-リピートタウの協調的発現が消失していることを明らかにし,アルツハイマー病における病態機序と関連する可能性が示された.FAD遺伝子のmajor locusと考えられている第14染色体についても,密接に連鎖していることが証明されているD14S42を用いて新たな酵母人工染色体クローンを単離した.APPの生物学的機能については,全長のAPP cDNAを胚性がん細胞に導入し神経細胞に分化させたところ,細胞内にAPPのC端末が蓄積し,神経細胞が選択的に変性した.またグリオーマ細胞ではリソゾーム活性を低下させることによって,APPのC末端断片が蓄積し,細胞死をおこすことが明らかとなり,細胞内でのAPPの代謝障害よって生じたAPPのC端末断片が,細胞内部から毒性を示すことが明らかとなった.ヒト神経成長抑制因子(GIF)cDNAがクローン化され,アルツハイマー病脳において,特に神経原線維変化(NFT)の著しい脳においてメッセンジャーRNAレベルでのdown-regulationがあることが明らかにされた.前頭葉にNFTの認められた進行性核上性麻痺症例でGIFの発現低下を認め,NFTの出現にいたる病態にGIFが関連している可能性が示唆された.
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