研究課題/領域番号 |
04269102
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山本 直樹 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00094053)
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研究分担者 |
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 教授 (00107434)
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
原田 信志 熊本大学, 医学部, 教授 (60173085)
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キーワード | HIV / 潜伏感染 / 宿主因子 / 変異 / 脳由来細胞 / 中和 |
研究概要 |
1、山本 サイトカイン、LPSなどの刺激下におけるHIV増殖において細胞側因子としてNF-κB、Cキナーゼ、G蛋白質の関与を示してきた。さらにヒトレトロウイルス感染細胞の糖脂質組成の比較解析から、HTLV-I及びHIV重複感染培養細胞から、コリン、リン酸基、グルコース、ジアシルグリセロール(DAG)を持つ全く新しい脂質成分が見つかり、これを分離、精製、構造決定した。 2、原田 TAR RNAをプローブとしてMOLT-4細胞核蛋白と反応させgel-retardationを行なうと、二つのバンドが検出された。このパターンは、HIV転写を促進するTPAの存在下で変化した。TARには主にHIV tatが作用するが、それ以外に細胞の核蛋白質が転写促進に関与していることが示唆された。この蛋白の同定が重要となるであろう。一方、転写終結のPoly(A)シグナルも、その近傍の転写産物を詳しく解析すると、TPA存在下で影響を受ける。以上の結果、HIVの転写では、単にウイルスの蛋白だけでなく宿主細胞の様々な蛋白が作用し複雑に調節していると思われた。 3、生田 一般に、AC期から分離されるウイルスが弱毒性を示すのに対し、AIDS期からのそれは強毒性を示す。今までに、HIV vif、vpr、またはvpuといったアクセサリー遺伝子が変動することと、nef遺伝子が正常であることが、Tリンパ球へのHIV持続感染の必要条件になっていることを明らかにしてきた。また、nef遺伝子産物のCD4陽性細胞に対する免疫不全誘導能があること、マクロファージ系細胞がHIVに感染することにより産生する活性酸素がHIV伝播を促進すること、を明らかにしてきた。 4、星野 HIV-1には、樹立T細胞株で増殖できるT細胞指向性株や初代マクロファージに感染し、増殖できるマクロファージ指向性株がある。一方、脳由来細胞でHIV-1のレセプターCD4を持つ細胞は、HIV-1に抵抗性である。この細胞に感染する脳細胞指向性変異HIV-1株を分離し比較解析した結果、env遺伝子V3ループの変異が細胞指向性を決定していることを見い出した。
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