研究課題/領域番号 |
04271101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野本 明男 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70112670)
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研究分担者 |
豊田 春香 北里大学, 薬学部, 助手 (10197973)
永田 恭介 東京工業大学, 理工学部, 助教授 (40180492)
水本 清久 北里大学, 薬学部, 教授 (80092344)
永井 美之 医科学研究所, 教授 (20022874)
石浜 明 国立遺伝研, 分子遺伝, 教授 (80019869)
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キーワード | ウイルスRNA / ウイルス蛋白質 / 転写 / 複製 / 翻訳 / 病原性 / 宿主分子 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
本年度も、ポリオウイルス、パラミクソウイルスおよびインフルエンザウイルスを中心に研究を推進した。以下に主な研究成果を示す。(1)ポリオウイルス受容体は種特異性決定に関する重要な宿主分子であるが、組織特異性はこの受容体の存否のみで決定されているわけではないことを明らかにした(野本)。(2)種特異性の決定に重要と思われるポリオウイルス受容体上のアミノ酸残基を決定した(野本)。(3)パラミクソウイルスの活性化を行う生体側プロテアーゼは、ウイルスの組織特異性を決定する重要な因子であり、ウイルスにより特異的な蛋白質分解酵素を利用していることを証明した(永井)。さらに(4)この考え方はエンベロープを持つウイルス全般に適用できることを示した(永井)。(5)パラミクソウイルスおよびインフルエンザウイルスのRNA合成開始に関する複数の宿主側分子の精製が進み、そのRNA合成における機能が明らかになりつつある(石浜、水本、永田)。とくに(6)インフルエンザウイルスのRNA転写反応からRNA複製反応への変換を行う宿主側分子の実体が明らかになりつつあることは注目に値する(永田)。(7)ポリオウイルス特異的蛋白質合成開始に関与する生体側分子群が次々と明らかになっており、その一つは複数の分子からなる複合体であることを証明した(豊田)。さらに(8)その構成成分の中にはRNAスプライシングに関与する分子であるPTB(polypyrimidine tract binding蛋白)や自己免疫疾患の抗原であるLa蛋白質など、本来核局在性の蛋白質が含まれていることを証明した(豊田)。 以上のように、ウイルス複製に関する新しい宿主分子への分離・同定が順調に進んだ他、ポリオウイルス感受性トランスジェニックマウスはサルに代わって、ポリオウイルスの神経毒性を検定する動物モデルとなり得ることを明らかにした(野本)。
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