研究課題/領域番号 |
04271202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩田 達雄 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00187329)
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研究分担者 |
坂井 優子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (40178538)
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キーワード | パラミクソウイルス / 転写 / 複製 / 再構成系 / 機能互換性 / 過剰発現 / 転写阻害 / RNA蛋白複合体 |
研究概要 |
パラミクソウイルスは一本鎖で直線状のマイナス鎖RNAをゲノムとし感染細胞内で、capとpolyaのついた5つのmRNAとプラス鎖の全長RNAを合成する。ゲノムRNAの転写及び複製のためにはウイルスのRNAポリメレースの2つのsubunit(LとP)、及び鋳型となるゲノムRNAとそれを包装するヌクレオカプシド蛋白質(NP)が要求される。本研究はパラミクソウイルスの転写及び複製のための上記の因子群間の相互作用の分子的実態を明かにする事を目的とする。このため本年度は以下の研究を行った。 (a)パラミクソウイルスのセンダイウイルス(HVJ)とパラインフルエンザ3型ウイルス(PIV3)は近縁のウイルスであり、NPは60%、Pは20%、Lは60%のアミノ酸が保存されている。そこで、これらの2つのウイルスの間の、NP、P、及びLの機能互換性を検討した。NPとゲノムRNAの複合体(RNP)を細胞に導入し、LやPを別々に細胞に供給する細胞内再構成系を用いた実験結果からは、2つのウイルスの間でLやPの機能互換性は認められなかったが、HVJの欠損干渉性ゲノムは、PIV3のウイルス蛋白質により子孫ウイルス中に包装され得た。これらの結果から、NPとLやPとの相互作用にはこれらのウイルス間で機能互換性がないが、ゲノムRNAとNP、P、あるいはLとの相互作用にはウイルス間で機能互換性が存在する事がわかる。 (b)HVJの粒子内には、約2500分子のNP、約500分子のP、約50分子のLが存有し、ウイルス感染細胞内でもこれらの蛋白質はほぼ同じ割合で合成される。そこでワクシニアウイルスベクターを用いてNP、P、あるいはLを過剰発現させ感染細胞のNP、P、及びLの量的割合を変化させウイルスの転写複製に及ぼす影響を調べた。その結果、過剰発現したNPとLがHVJの感染直後のウイルスの転写を強く阻害する事が明かになった。
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