研究概要 |
本研究の端緒は、sTobRVリボザイムが、4度近くの低温で逆反応、既ち、ライゲーション反応を触媒する能力を有するとの発見にあった。この逆反応に必須な領域の検討過程で触媒ドメイン配列の全てを欠いたリボザイム(相補鎖RNAまたはDNA)にも類似のライゲーション活性が存在することをみだした。しかしながら、二つのライゲーション反応の産生は、異なっていた。既ち、完全リボザイム依存した反応の産生リン酸ジエステル結合は、3'-5'であったが、相補鎖依存反応の産物のそれは、2'-5'であった。3'-5'リン酸ジエステル結合とは対照的に、2'-5'リン酸ヂエステル結合は、RNA-RNAあるいはRNA-DNA couble helix中で非常に不安定であり、特異的に2'、3'環状リン酸と5'0末端を持ったヌクレオチドに分解した。既ち、double helix中の2'-5'リン酸ジエステル結合は、分解・再結合のダイナミックな平衡状態のあり、速度定数を用いた解析により、0-30度Cでの平衡定数は、0.3-0.4であった。反応は、中性、室温で容易におこり、double helixの形成そのものにより、polymerase,depolymerase活性が、生じる事が判明した。一方、リボザイム上においては、3'-5'結合が、切断・再結合の平衡状態にあり、対照的に2'-5'結合は非常に安定であった。これらの結果は、次に二つの基本的な質門の対する重要な示唆を与えている。(1)何故自然界に存在するRNA中のリン酸ジエステル結合は、ほとんど排他的に3'-5'なのか?(2)RNAがリボザイムとして機能する最小の条件は何なのか?
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