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1992 年度 実績報告書

ウイルスRNA鎖を識別する蛋白質とその分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 04272207
研究機関金沢大学

研究代表者

福田 龍二  金沢大学, 医学部, 教授 (60027331)

研究分担者 畑田 恵利子  金沢大学, 医学部, 助手 (70228469)
滝澤 剛則  金沢大学, 医学部, 講師 (40192158)
キーワードRNA結合蛋白質 / インフルエンザウイルス / NS1蛋白質 / パンハンドル構造 / 分子生物学
研究概要

マイナス鎖RNAウイルスの1つ、インフルエンザウイルスのゲノムは8本に分節しており、各分節は末端共通塩基配列の部分的相補性によりパンハンドル構造をしている。感染細胞内では各分節に少なくとも三種類のRNA(ゲノムRNA,複製の鋳型RNA,mRNA)が存在し、これらのRNA識別は非常に複雑であると考えられる。我々はこのウイルスのNS1蛋白質がRNA鎖識別能を持つ事を発見した。NS1はウイルス粒子構成成分ではないが、感染細胞中で比較的大量に産生され細胞核に局在する。ウイルス増殖には必須の蛋白質であるが、その機能はいまだに同定されていない。
NS1蛋白質は、全分節のゲノムRNA((-)鎖)の5′と3′末端に存在する10数塩基の共通配列にそれぞれ個別に結合する事ができる((-)鎖単一末端配列結合)。しかし、(+)鎖の鋳型RNAやmRNAには結合できない。試験管内でパンハンドル構造をとると推定されるミニゲノムRNAを作りNS1の結合性を調べると、高次構造(多分パンハンドル構造)依存性に強い安定な結合が観察された。一方、NS1は二本鎖RNAにも強く結合し、この場合は塩基配列特異性を示さなかった。結合の強さは、ミニゲノムRNA>二本鎖RNA>>(-)鎖単一末端配列、の順序であり、前二者への結合は温度非依存性であるが、三番目の結合は依存性であった。ミニゲノムRNAへの強い結合のためには、パンハンドル構造から突出するシングルAバルジ構造の存在が重要であった。また、NS1がゲノムRNAのパンハンドル構造形成を促進する結果を得た。NS1蛋白質の示すこれら三様のRNA結合能が、ウイルス感染においてはたす役割について解析中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Eriko Hatada: "Specific binding of influenza A virus NS1 protein to the virus minus-sense RNA in vitro" Journal of General Virology. 73. 17-25 (1992)

  • [文献書誌] Eriko Hatada: "Binding of influenza A virus NS1 protein to dsRNA in vitro" Journal of General Virology. 73. 3325-3329 (1992)

  • [文献書誌] Kazue Enami: "An influenza virus temperature-sensitive mutant defective in the nuclear-cytoplasmic transport of the negative-sense viral RNAs" Virology. (1993)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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