ヒトMHC領域内に見い出した多機能マルチドメイン型細胞間マリリックスタンパク質遺伝子″テネイシン2″は、約80kbよりなる大型遺伝で、その中央部に20回以上のフィブロネクチンタイプIII(FN3)配列を持つ。既知のフィブロネクチンやテネイシン遺伝子からの知見を基礎にすると、オルタナティブスプライシングを受ける配列(1エキソン-1FN3配列)の方が受けない配列(FN3配列内にもイントロンあり)より多数存在し、これら既知マトリックスタンパク質遺伝子よりはるかに複雑なオルタナティブスプライシングを受けると想定される。数個のヒト培養細胞並びにネズミの組織より調製したpolyA^+画分に対するノザンハイブリダイゼーション実験により、テネイシン2がテネイシンよりも大型の約13kbのmRNAを広範囲の組織で多量に発現していることを見い出した。これも以外にも11kb以下の複数RNA分子が観察されており、polyA^+RNA画分を鋳型にしたRNA-PCR実験から多様な産物が検出され、複雑なオルタナティブスプライシングを受けるとの当初の予想を裏付る結果を得た。この遺伝子内に小規模ながらGC含量のシャープに変化する部位を見いだした。オルタナティブスプライシングを受けると想定されるFN3配列の近傍に位置していたので、塩基配列の解析をおこなったところ、Sp1やAP2のような転写因子の結合部位の大型クラスターを見いだした。このテネイシン2遺伝子のセントロメア側に2個の新しい遺伝子を見いだしたが、その一つはEGF配列を多数回持つNotch様のマルチドメイン型遺伝子であった。この遺伝子のさらにセントロメア側にAlu配列の大型クラスターを見いだしており、CG含量の大規模変位点との関係を解析している。
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