研究課題/領域番号 |
04273207
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
向畑 恭男 名古屋大学, 理学部, 教授 (10028110)
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研究分担者 |
井原 邦夫 名古屋大学, 理学部, 助手 (90223297)
杉山 康雄 名古屋大学, 理学部, 助手 (70154507)
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キーワード | Dunaliella bardawil / 浸透圧調節 / 耐塩性緑藻 / 蛍光の浸透圧応答 / プロトノフォアCCCP / 光合成 |
研究概要 |
高濃度塩水中で生育しうる単細胞緑藻Dunaliella bardawilの耐塩性の機構を解明して、不毛な高塩環境で生育しうる生産性の高い植物種を創製することを究極の目的とし、具体的には、この緑藻に特異なグリセロール代謝系を等御する機構、特に全く未知である、浸透圧情報の感知・伝達系の解明を目指して、浸透圧の階段状下降・上昇時の藻の応答を、種々のパラメーターについて観測した。 その結果480nm励起光による藻体からの686nm蛍光が、浸透圧の階段状昇降に対応して正負の過渡的4相の変化を示し、変化量は浸透圧変化の落差に比例した。階段状の降圧で起きる第1相の正の過渡的変化は5分以内に終了し、今までに報告されているパラメーター変化の中で最も早く出現し、完了するものであった。この第1相の正の応答はプロトノフォアcarbonylcyanide-m-chlorophenylhydrazone(CCCP)の添加によって選択的に、かつCCCP濃度に比例して増強された。他の諸種の結果を総合すると、このCCCPで増強される第1相の早い応答は、この時間帯で起きた何らかの独立事象を反映するものであることが示唆された。他の脱共役剤、阻効剤等は無効、あるいは非選択的であった。藻からの蛍光の4相が浸透圧変化の正負、大小に対応して変化すること、CCCPが第1相のみに選択的且つ濃度依存的に効くこと、しかも、このCCCP感受性応答は知られる限りで最も初期に完結するものであることなどから、当初の目的であるグリセロール生合成系を統御する初期浸透圧信号受容・伝達機構の解明に有望な緒を得たと考える。
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