研究課題/領域番号 |
04301004
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
荒木 美智雄 筑波大学, 哲学・思想学系, 教授 (60103032)
|
研究分担者 |
星川 啓慈 図書館情報大学, 図書館情報学部, 講師 (10173585)
中野 毅 創価大学, 文学部, 教授 (00164252)
山中 弘 愛知学院大学, 文学部, 助教授 (40201842)
島薗 進 東京大学, 文学部, 教授 (20143620)
池上 良正 筑波大学, 哲学・思想学系, 助教授 (60122925)
|
キーワード | 民衆宗教 / 新宗教 / 宗教学 / 救済観 / 神癒(霊術による癒し) / 修養 / 体験(主義) / 政治と宗教 |
研究概要 |
本研究は、加速する伝統的な宗教的宇宙と価値の崩壊の中に生きる現代日本の民衆の宗教的意味世界の世界観と救済観を、とりわけ新宗教の運動や民間に息づいてきたフォーク・レリジオンの担い手たちに探求するという課題の下に、末梢的な事例分析や社会科学的・心理主義的概念への還元主義に陥る傾向のあった従来の個別研究への反省をふまえつつ、「民衆宗教」に内包された世界観・救済観の人類史的意義を「統合の学」としての宗教学の方法によって明らかにしようとするものであった。本年度は、計画の最終年度であり、其々の班が其々に設定された研究対象と課題について過去二年間に重ねてきた実地調査と資料収集をふまえて、最終報告書の作成に向けて成果の取りまとめを行なった。成果のまとめに際しては、とくに近年活動の注目されている宗教運動を、霊術の強調、修養の強調、体験主義の強調などの指標によって整理しつつ、各々の世界観救済観の特徴を明らかにできるよう試みた。研究を総括する荒木・池上は、沖縄のキリスト教会に最近台頭してきたペコテコステ系カリスマ運動や世界救世教などの新宗教における神癒・霊術による癒しの活動を調査し、伝統と近代化の相克のなかで新たな意味世界を希求する現代民衆の救済論的課題領域について資料の分析とその理論的考察を進め、とくに本年度は昨年度までの高野山や吉野に続き、伊勢の調査によって、日本宗教のルーツとの関係からそれらを比較論的に捉えることも試みた。島薗・市川は、修養会型の新宗教を重点的に調査する中で、現代の新宗教運動に顕著な体験主義・心理主義的な特徴を明らかにしている。星川は、最近その実践者が増加している超越瞑想運動“TM"の調査とともに、他社の宗教体験の理解とその言語化の問題についての理論的考察を進めてきた。また中野は、創価学会に代表されるような組織の巨大化が顕著な新宗教を主な対象とし、政治と宗教の相克関係を捉える理論的枠組みを整備してきている。これらの成果は、各分担者の個別・共同研究として学術誌等に発表され、また相互の批判や議論を経て研究成果報告書として公刊される。
|