研究課題/領域番号 |
04301007
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研究機関 | 沖縄県立芸術大学 |
研究代表者 |
金城 厚 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 助教授 (50183273)
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研究分担者 |
松原 武実 鹿児島短期大学, 助教授 (60083375)
酒井 正子 湘南国際女子短期大学, 助教授 (00092627)
久万田 晋 沖縄県立芸術大学, 附属研究所, 講師 (30215024)
波照間 永吉 沖縄県立芸術大学, 附属研究所, 助教授 (30189576)
板谷 徹 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 助教授 (20130867)
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キーワード | 沖縄音楽 / 奄美音楽 / 歌謡 / 民謡 / 民俗芸能 / 音楽分析 |
研究概要 |
共同研究では、大きく2つの視点から研究が進められた。その第一に、日本本土から沖縄・奄美音楽のなかに入り込んだ音楽要素を見分ける試みとして、形式、リズム、旋律形のうえでの特徴を明らかにした。すなわち、対称的な楽句構造、かまぼこ型の旋律、8音の音数律とリズム型の対応、リズム・パターンの系統性などの新たな知見を得た。これらは今後、沖縄・奄美音楽の固有性とその生成・展開の系譜を明らかにしていくうえで、われわれの強力な道具となるはずである。しかし同時に、歌詞・音階・旋律ともに、容易に取り替えられうる要素であることがわかり、一要素のみをもって系統を見分けようとすると誤りを生むという認識も得られた。 第二に、文化伝播の側面から、まず、異文化受容のプロセスに関して、民謡の歌詞内容から探るという斬新な試みによって、両地間の庶民の密接な交流が明らかにされた。また、沖縄の「口説」の原曲が宮崎県にみられ、それらが南九州一帯の船祝い歌と関わる可能性が指摘されたほか、ヤマトと沖縄との間の芸能伝播を担った念仏僧の活動が重要であることが再認識された。一方、俗説にて南方渡来とされていた芸能「フェーヌシマ」が鹿児島方面の棒踊りを取り入れたものであることも明らかにされ、異文化を受容する際の沖縄的特質についての検討が進んだ。 これらの意味を検討する過程で、これら音楽的様相の違いがヤマトと沖縄の歴史的展開の「ずれ」に起因する部分が少なくないことも指摘され、日本音楽研究にとっての南西諸島の重要性も明らかとなった。以上のように、今回の共同研究を通じて、南西諸島の音楽・芸能研究における新しい段階の足場を確認できたがこの成果は今後、中国、東南アジアとの比較研究として発展させられるべきものである。
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