研究課題/領域番号 |
04301013
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 公一 東北大学, 文学部, 助教授 (00164814)
|
研究分担者 |
飯島 伸子 東京都立大学, 人文学部, 教授 (20010019)
舩橋 晴俊 法政大学, 社会学部, 教授 (30130751)
|
キーワード | エネルギー政策 / 原子力問題 / 核燃料サイクル施設 / 巨大開発 / 生活史 / 権力構造 / 草の根保守支配 / 主体連関 |
研究概要 |
初年度は、エネルギー問題と原子力施設のなかで、今日の日本社会でもっとも紛争の争点となっている核燃料サイクル施設問題を中心的に取り上げ、2度にわたって立地点および立地県の現地調査を行った。また九州のエネルギー事情と原子力発電所の立地問題について現地での資料収集を行った。青森県と六ケ所村周辺においては、県・村レベルの行政、事業者、各政党関係者、村議、教育関係者、農協、農業者代表、一般住民リーダー、青年層・女性層リーダー、反対運動のリーダー、弁護士、労働組合幹部など、主要な関係者に対して網羅的にインタビューを行うとともに、資料収集につとめた。得られたデータと文献資料をもとに、(1)むつ小川原開発問題以来の詳細な年表および(2)関係主体間の関係の歴史的な連関図、(3)主要争点の変遷一覧表を作成した。 これらの研究によって、この問題の歴史的な経過、巨大開発にともなう村の社会構造の変容過程、多様な村民および周辺市町村民の意識、利害対立の内実、村内の権力構造の変遷などが明らかになった。とくに酪農者・漁業者・離農者など職業階層ごとの開発にともなう上昇や下降移動の実態を、住民の生活史に即して明らかにすることができた。 また全県的なレベルでは、争点に関する住民の意思表明機会としての県知事選、参院選が、社会紛争をめぐる政治力学に対してもたらすさまざまのインパクトについて分析することができ、事業者・政権党幹部・自治体首長・県議・市町村議・農漁協組合長という地方における草の根的な保守支配の利害連関の構造を、当該事例に即して解明することができた。
|