研究課題
平成4年度は、4回の共同研究会、各都市への資料収集・ヒヤリング等をふまえて、広島市をはじめとする9都市を選び、約5500人の住民へのインテンシブなアンケート調査を行った。そして、調査の整理、コーディング作業および簡単な集計作業を行い、予備的な比較分析を行った。アンケート調査の対象とした9都市は、人口の順から166万人の札幌市、福岡市、広島市、岡山市、金沢市、宇部市、高梁市、因島市、そして1万5千人余の「吉備高原都市」まで、様々な特徴をもった地方都市であり、次のような知見を得た。1都市のイメージ・評価については福岡市、札幌市、広島市の地方中枢都市は高い評価がなされているが、他の都市は金沢市を除いて、その都市レベルが低いほど、低い評価となっていること。2地方中枢都市を除く他の地方都市は、大都市志向が強いものの、関連する都市としては一レベル上の都市をあげており、地方都市にはチェラルヒッシュな序列構造があること。また地方中枢都市は、東京志向はあまり強くないが、関連する都市として福岡と札幌は東京を上げる人が多い。その中で、広島市の場合は福岡や大阪等の東京以外の都市をあげる人が多く、また長崎市を上げるがかなりいるのも特徴である。3定住指向や移動の在り方、ソシアルネットワークのパターンにおいても都市の規模やその性格によってかなりの差があることが分かった。平成5年度には、上記の調査データの詳細な分析を行うと共に、研究者それぞれの分担する都市及び分野についての調査分析を深める。