研究分担者 |
中野 光 中央大学, 文学部, 教授 (90100453)
鈴木 慎一 早稲田大学, 教育学部, 教授 (00063545)
三輪 定宣 千葉大学, 教育学部, 教授 (80036665)
藤枝 静正 埼玉大学, 教育学部, 教授 (00008723)
柴田 義松 成蹊大学, 文学部, 教授 (60107464)
|
研究概要 |
本研究は,大学設置基準の大綱化に伴い大学カリキュラムの編成に大きな改変が予想されるなかで,これからの教育者養成のあり方,特にそのカリキュラムはどうあるべきかについて総合的調査研究を行い,標準的な試案を作成することを基本的課題とするものであった。 調査は,ABCの三種類行った。A:教職の専門性・教師の力量形成に関する大学教員・小中高の教員・学生の意識調査。B:大学における教師養成カリキュラムの現状と改革の課題に関する調査。C:教員採用の現状と改善の課題に関する都道府県等教育委員会の意見調査。 その結果,A:教職の専門性の理解に関して,豊かな人間性を第一に重視する点では,大学教員・現職教師・学生の意見が共通するものの,大学における教師教育のあり方に関しては三者の間にかなりの認識の差があること,教職の専門性をより明確に規定した上で,教職「教育学」の再構成を図る必要があること等の知見が得られた。B:大学のカリキュラム改革は現在進行中であるため正確な動向を把握することはできなかったが,学部・学科の「専門性強化」が進み,教師に求められる「幅広い教養」の獲得という点では,選択科目の増加という傾向が一方に見られるものの,一般教育ならびに教職課程の大学内での地位が相対的に低下しつつあり,大学における教員養成は,カリキュラム改革やその条件整備の上で多くの課題をかかえていることが明らかとなった。C:教員採用に関しては,選考方法の多様化等を推進しようとする中央の政策意図と現場の対応との間に「量」と「質」の現状をめぐって意識・対応の両面にわたってギャップがあること等,教育委員会が「人材確保」に多くの課題をかかえていることが明らかにされた。これらの調査研究に基づき,私たちは,教育者養成の標準的カリキュラム試案の作成作業を行っており,学会その他で随時発表する予定である。
|