研究課題/領域番号 |
04301049
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林 謙作 北海道大学, 文学部, 助教授 (90109405)
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研究分担者 |
小杉 康 明治大学, 文学部, 助手 (10211898)
設楽 博己 国立歴史民俗博物館考古研究部, 助手 (70206093)
大塚 達朗 東京大学, 文学部, 助手 (10168990)
今村 啓爾 東京大学, 文学部, 助教授 (70011765)
須藤 隆 東北大学, 文学部, 教授 (00004060)
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キーワード | 東北 / 北陸 / 近畿 / 縄文晩期 / 編年 / 大洞式 / 滋賀里式 / 中屋式 |
研究概要 |
本年度は、東北(第一回:青森・岩手・第二回:宮城・福島)北陸(第三回:新潟・富山・石川)近畿(第四回:三重・奈良・大阪・滋賀・京都)の資料を対象として、検討会を開催した。 これらの検討の結果、大洞BC新段階(BC_2)の資料はかなり広い範囲に分布しており、北陸地方の中屋式の前半、近畿地方の滋賀里IIIb中段階(篠原式)に対比できることが明らかになった。中屋式の後半・滋賀里IIIb新段階は、大洞C_1式に対比される。これは、錦織南・竹之内で在地の土器に伴出する東北系の土器からも裏づけられる。各地域の型式がそれぞれ対応するとすれば、滋賀里IIIb古段階・中屋式前半は大洞BC古段階に、滋賀里IIIa式・御経塚式は大洞B式に対比するものと推測できよう。しかし、この裏づけとなる資料は、未発見である。 大形波状口縁・二段につよくくびれた胴を特徴とする厚手の深鉢は、北陸地方では典型的では典型的な滋賀里系の深鉢と考えられてきた。しかしこの種の土器は、琵琶湖東岸・北岸の地域で派生した地域的なヴァリエイションである。近畿地方で出土している「東北系」の土器は、ほとんど例外なく新潟系統の土器である。これらの事実は、地域のあいだの型式の伝はん・影響の波及のメカニズムを理解するうえで、「周辺地域」がはたす弥割が大きいことをしめしている。このような観点から、中部高地・北関東の土器を観察することが来年度の課題となる。 北陸系の土器の分布が近畿地方におよんでいることは、これまでも知られていた。検討の結果、福島県羽白C・同大日向・岩手県雨滝などからも、北陸系の土器が出土していることが確認された。しかしその中間の仙台湾沿岸には波及していないようである。新潟方面の土器組成は、福島県内陸部よりも、東北中部・北部に近い。各地域の型式の交渉とその内容は、これまで考えられていたところより複雑なものがある。
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