研究課題/領域番号 |
04301057
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小岸 昭 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60000600)
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研究分担者 |
田中 昌子 東京経済大学, 助教授 (60096419)
松下 たゑ子 成蹊大学, 経済学部, 教授 (70229467)
和田 忠彦 名古屋芸術大学, 助教授 (50158698)
濱崎 一敏 長崎大学, 教養部, 教授 (10039779)
池田 浩士 京都大学, 総合人間学部, 教授 (70026780)
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キーワード | フィシズム / ナチズム / 反ユダヤ主義 / 異文化 / 民族 / 共同体 / メディア / 近代 |
研究概要 |
今年度は、ドイツ文学者とイタリア・フランス・スペイン・ロシア・日本・中国の「ファシズム」研究者総勢25名が、合宿の形をとる研究会を何度を開き、活発な討論を行なってきた。その度毎に強く感じられたことは、手を携えたように世界各地の政治風土に発生してきた「ファシズム」の同時性である。つまり20世紀初頭、「ファシズム」はどの国でも理知の世界が不可能となった多元的な世界観と利害の統合を、民族共同体の「情」に訴える形で一挙に達成していったのである。群衆に向かって獅子吼する指導者、壮大なスペクタクル劇としての党大会、華やかな集団行進と近代技術を駆使した大量宣伝は、理性を麻痺させ、情念を高揚させて、ばらばらな民衆をたちまち巨大な群衆に変えていった。こうした政治運動も、それをみちびいた思想構造も、決して偶発的に出現してきたものではなかった。したがって、個々の国の「ファシズム」をただ個別的に解析するのではなく、各国「ファシズム」の文化的・社会的な諸相の比較研究を通して「ファシズム」の全体像に迫るのが今年の我々の主な研究目標になったのである。主要な研究会の報告ー(1)栗原幸夫(ゲストスピーカー)「日本浪曼派の《近代の超克》論をめぐって」(2)田中正人「フランス『ファシズム』をめぐって(3)細見和之「ハイデガーとナチズム」(4)斉藤希史「国家/文学/政治ー日本近代文学は何を求めようとしたか」(以上'92年8月19日〜21日、於城崎)(5)松島征「ルイ・マルの映画『さようなら子供たち』におけるドイツ軍占領下フランスの市民生活」(6)伊藤公雄「スコーラ監督作品『特別な一日』における性と政治」(7)和田忠彦「ズルリーニの映画『激しい季節』における文学作品とその映画化をめぐって」(以上'93年3月3日〜6日、於富山)(8)山本元尤(ゲストスピーカー)「ハイデガーのナチ荷担をめぐる論争」('93年3月15日〜16日、趣名古屋)。
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