研究課題/領域番号 |
04301057
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小岸 昭 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60000600)
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研究分担者 |
細見 和之 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (90238759)
松島 征 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (90031476)
和田 忠彦 名古屋芸術大学, 助教授 (50158698)
伊藤 公雄 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (00159865)
池田 浩士 京都大学, 総合人間学部, 教授 (70026780)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | ファシズム / ナチス / ヒトラー / ムッソリ-ニ / フランコ / 政治 / 文化 / メディア |
研究概要 |
本研究は、「ファシズム」を特殊な一時代の急進主義的な政治現象としてのみ捉えてきた従来の研究に対する反省を踏まえ、各国社会の全領域におよぶ一大文化現象として「ファシズム」をはじめて総合的に検討しようとした。したがって、本研究は政治・経済のレヴェルばかりでなく、芸術・思想など文化一般を巻き込んだファシズムがいかに強力に共同体意識を形成し、相容れぬ立場をいかに巧妙に排除していったかを多角的・広域的に明らかにすることをめざしてきた。 その具体的な成果として、 1.ファシズムが決してたんに古いもの、おぞましいものではなく、むしろ「新しい魅力的なもの」であったことの確認 2.ドイツ・イタリア・スペイン・フランス・日本等の国々における、文学・映画・音楽・思想・イデオロギーといった種々のメディア、また「学会」やマフィアといった社会組織が果たした、翼賛と抵抗の諸相の分析 3.ポーランド、アルジェリア、さらにはラテン・アメリカといった「周辺地域」の視点からの、ファシズムの動員と排除のメカニズムの検証 などを挙げることができる。これらの成果を通じて本研究は、第二次世界大戦以降の世界にも生き続けている社会・文化各方面の「ファシズム」現象にも照明をあて、今日の「政治と文化」の関わりに実際少なからぬ示唆を与えることができたのである。 本研究での成果を踏まえ、今後とも「ファシズム」文化の諸相を共同で研究してゆき、この一年をめどに、すでに内諾を得ている出版社から各自の研究成果を一冊にまとめ刊行する予定である。
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