研究課題/領域番号 |
04301058
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平田 達治 大阪大学, 言語文化部, 教授 (30029665)
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研究分担者 |
中 直一 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (50143326)
高橋 輝和 岡山大学, 文学部, 教授 (90039793)
上村 直己 熊本大学, 教養部, 教授 (60019247)
岸谷 敞子 愛知大学, 文学部, 教授 (70012490)
神品 芳夫 明治大学, 文学部, 教授 (50012282)
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キーワード | ドイツ文学 / 文化交渉史 / 比較文学 / 比較文化 / 日独関係 / ドイツ学 / 翻訳 / 翻案 |
研究概要 |
本研究において研究分担者一同は、明治期・大正期を中心に、日本におけるドイツ学関係の文献について書誌学的調査を進めた。その結果明治初期のドイツ語辞書・教科書、明治から大正にいたる翻訳書が、国立国会図書館・関西学院大学・早稲田大学・大阪大学に保存されていることが解明されたのみならず、一部の貴重文献が滋賀大学・京都薬科大学といった、従来は見落とされていた研究機関にも保存されていることが判明した。また個人で貴重文献を所蔵している場合も数件確認され、「散逸の傾向にある貴重文献の所在を明らかにする」という本研究の所期の目的は、かなりの部分で達成された。貴重文献の所在を記したデータベースは、本科研研究成果報告書に収録した。またデータは追加修正の上、フロッピーディスクに収めて日本独文学会データベース委員会に寄贈の予定である。 明治期のドイツ学に関しては、調査した資料に基づき、次のことが判明した。日本における最初期のシラー文学の訳者芦田束雄については、従来どのような人物なのかが全く分かっていなかったが、今回の研究の結果、国文学者であること、シラーの訳も、翻訳というよりも自由な翻案であることが判明した。またドイツの詩をいち早く日本に紹介した秋元蘆風の生涯についても、かなり詳しいことが分かってきた。さらに、明治中期に多くのドイツ語教科書を執筆したドイツ語学者・藤山治一の生涯と業績も、今回の調査で始めて解明された。明治初期の学習書については、『独逸訳附単語篇』が、先行する英語単語集などの影響を非常に強く受けて書かれたものであることが解明された。そしてこうした明治期の独逸学が、明治政府のドイツ学推進政策にのっとった形で行われたことが再確認された。
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