生殖医療における人格権をめぐる法的諸問題

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04301063
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 東海林 邦彦 北海道大学, 法学部, 教授 (00004151)
• 研究分担者: 品川 信良 弘前大学, 名誉教授 (20003345) ; 加藤 久雄 慶応義塾大学, 法学部, 教授 (90051713) ; 甲斐 克則 広島大学, 法学部, 助教授 (80233641) ; 山田 卓生 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (00055170) ; 五十嵐 清 札幌大学, 法学部, 教授 (00000646)
• キーワード: 生殖医療 / 体外受精 / 人工授精 / 代理母 / 胚保護 / 医事法 / 生命倫理

研究概要

(1)この間2度の研究集会を開催した。すなわち、第一回の研究集会(平成4年8月30日、31日。於、北海道大学法学部)では、(i)「先端生殖医療をめぐる現状とその問題点」と題するミニシンポをもち、臨床・研究の第一線で活躍中の三人の講師(広井正彦山形大学医学部教授、石川睦夫旭川医科大学教授、井上正人東海大学医学部助教授)からお話をうかがって、上記テーマについての共同分担者間の基礎的状況認識を深め、又(ii)刑事法、医事法。憲法・法哲学等の各分野からそれぞれにおける基本的論点を提出して意見交換を行ない、それらをもとに(iii)全体を、(1)人為的生殖医療(AID、IVF-ET、代理母、選択出産等)そのものに関する研究班と、(2)配偶子ないし受精卵の操作・処分・利用にかんする研究班の、二班に分け、それぞれの今後の研究体制、方針等について協議をおこなった。次いで第2回研究集会(平成5年1月30、31日。於、慶応義塾大学法学部)では、各班毎で割り当てられたテーマについて各分担者から研究報告がなされ、活発な議論がなされるとともに、今後の研究方針等につき意見交換をおこなった。(2)以上と平行する形で、この間とくに外国の文献・資料の収集に努めた(研究代表者の東海林は、The 3rd Int'l Conference on Health Law and Ethics(Toronto,Conada、'92.7)の分科会において本研究プロジェクトに関連するテーマについてレポートを発表すると同時に、その後、カナダ・アメリカ合衆国・WHO・スゥェーデン・デンマーク・ドイツ等の関連機関において文献・情報の収集を行なった。(3)共同分担者中の数名の者で、具体的な立法提案のためのワーキング・グループを作り、議案の作成をすすめつつある。(4)国内外の関連重要資料(法令・勧告・調査報告書等)の翻訳・編集・発行の作業を目下すすめつつある。

研究成果

• [文献書誌] 五十嵐 清: "人格侵害と原状回復" 札幌法学. 3巻1・2号. (1993)
• [文献書誌] 石井 美智子: "人工妊娠中絶できる時期の短縮とHFEA1990" 年報医事法学. 7. 70-79 (1992)
• [文献書誌] 浦川 迫太郎: "DNAレベルのプライバシー" 債権管理. 55号. 2- (1992)
• [文献書誌] 浦川 道太郎: "ヒトゲノム解折と法的コントロール" 国際BIOETHICS NETWORk. 8号. 1-2 (1992)
• [文献書誌] 品川 信良: "避妊と倫理" 周産期医学. 22. 667-669 (1992)
• [文献書誌] 品川 信良: "「生命の質」と「生命の量」" 医療と社会. 1. 55-58 (1992)
• [文献書誌] 品川 信良: "The“Seren Tunels"of Japanese Madical Ethics" Health Care Ethics Committee Form. 5. 39-43 (1993)
• [文献書誌] 高井 裕之: "(著書紹介)LAURENCE H.TRIBE,ABORTION:The Clash of Absolutes,W.W.Norton&Co.1900・88xvi+270" アメリカ法. 1992-1. 41-48 (1992)
• [文献書誌] 菅野 耕毅,高江洲 義矩: "医事法学概論" 医歯薬出版, 324 (1992)
• [文献書誌] 野村 豊弘: "加藤一郎先生古稀記念(F)現代社会と民法学の動向" (1992)
• [文献書誌] 手嶋 豊: "谷口知平先生追悼論文集" 信山社, (1993)
• [文献書誌] 加藤 久雄: "増補「要説刑法各論」" 嵯峨野書院, 460 (1993)
• [文献書誌] 加藤 久雄: "大塚仁・福田平両博士古稀記念論文集" 有斐閣, (1993)