測地学におけるGPSの高度利用に関する総合的研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04302019
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 助教授 (80134633)
• 研究分担者: 村田 正秋 科学技術庁航空宇宙技術研究所, 室長 ; 仙石 新 海上保安庁水路部, 航法測地課, 調査官 ; 田中 寅夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027222) ; 村田 一郎 東京大学, 地震研究所, 教授 (20012916) ; 笠原 稔 北海道大学, 理学部, 助教授 (40001846)
• キーワード: GPS / 干渉測位 / 精密暦 / 基準座標系 / 宇宙技術 / コロケーション / ダイナミックス / 人工衛星

研究概要

GPSは既に地殻変動研究を初めとして測地学の広い分野に応用されている.これらの成果をふまえGPSの応用研究を一段と進展させるため以下の研究を推進する必要がある(1)精密な衛星位置を推定して基線解析精度を向上させる,(2)VLBIやSLRとのコロケーションをすすめ基準座標系を確立する,(3)データや観測点情報のデータベースを構築する,(4)国際的なキャンペーンに参加し国際的GPS研究に貢献する.
これらの目的を達成するための第1段階として,本年は研究実施計画に沿って以下のことを実施した.
1.5月,7月に主要研究者が集まり,研究の推進方策について検討した.
2.7月に地震研に「GPS情報センター」(GDIC)を開設し,各種資料の集約と情報サービスを開始した.
3.7月25日〜8月8日の世界キャンペーンに参加し,日本国内の約30点の他,中国,韓国等東アジアの地域のオーガナイザ役を努めた.また,このキャンペーンの資料を収集し,GDICへ登録した.
4.11月に「GPS JAPAN'92」に参加し,コロケーションに関する資料を収集した.
5.水路部と国立天文台の分担者によるデータベースが完成し,日本における宇宙測地基準座標系の構築に向け貴重な成果が得られた.
6.国土地理院,航空宇宙研究所の分担者により,上記世界キャンペーン期間内における精密暦が算出され,諸外国における成果との比較が行われた.
以上述べたように,研究実施計画を上回るような多大な成果が得られた.次年度は本年の成果をふまえ,特にGPSの精度向上に焦点をあて,研究を一層進めたいと考えている.

研究成果

• [文献書誌] 加藤 照之(陳 光済): "A method of strain field calculatin from GPS observations and its applications to the Sagami Bay area,Japan" J.Geod.Soc.Japan. 38. 89-102 (1992)
• [文献書誌] 加藤 照之: "Recent global and regional studies using GPS ーA brief overviewー" J.Geod.Soc.Japan. 38. 329-348 (1992)
• [文献書誌] 辻 宏道: "Evolution of GPS orbit accuracy from 10m to 50cm in 7years" J.Geod.Soc.Japan. 38. 349-366 (1992)
• [文献書誌] GPS大学連合: "Crustal deformation observed at the Sagam,Bay area,Japan,by means of GPS interferometry" J.Gead.Soc.Japan. 39. (1993)
• [文献書誌] 島田 誠一(D.Rosenblatt): "Static GPS精密相対測位におけるSelective Availabilityの影響" J.Geod.Soc.Japan. 38. 29-44 (1992)
• [文献書誌] 島田 誠一: "Crustal deformation measurements in central Japan determined by a Global Positioning System fixed-point network" J.Geophys.Res.97. 12437-12455 (1992)
• [文献書誌] 加藤 照之: "GPS観測における最近の成果と展望" VLBIネットワークシンポジウム集録. 100-103 (1992)
• [文献書誌] 加藤 照之: "Initial Baseline analyses of the “GPS JAPAN" project" Proc.Sixth Int.Symp.Sat.Pos9. 591-599 (1992)
• [文献書誌] 平原 和朗 他: "GPS observation of Philippine Sea Plate motion relative to Eurasian plate in the Nansei-Shotou region,SW Japan" Proc.Sixth Int.Symp.Sat.Pos.945-958 (1992)
• [文献書誌] 木股 文昭 他: "GPS measurements in the Tokai region,the southern part of central Japan(1989-1991)" Proc.Sixth Int.Symp.Sat.Pos.727-934 (1992)
• [文献書誌] 田中 寅夫 他: "Daily routine GPS observation with Mini-Mac 2816 in Kinki and Shikoku region,southwestern Japan" Proc.Sixth Int.Symp.Sat.Pos.969-978 (1992)
• [文献書誌] 木股 文昭: "Stain event in 1985-1987 in the Tokai region,central Japan" J.Phys.Earth. 40. 585-599 (1992)
• [文献書誌] 石井 紘: "地震発生と異常地殻変動" 内陸地震ー発生の場と物理ーシンポジウム集録. 90-91 (1992)
• [文献書誌] 加藤 照之: "GPSによる地殻変動観測" 内陸地震ー発生の場と物理ーシンポジウム集録. 92-96 (1992)
• [文献書誌] 石井 紘(柳澤 道夫): "鋸山地殻変動観測所において観測された異常地殻変動" 地震研究所彙報. 67. 57-66 (1992)
• [文献書誌] 石井 紘: "伊東沖海底噴火前後の伊豆半島の特徴的上下変動" 地震研究所彙報. 67. 67-11 (1992)
• [文献書誌] 石井 紘: "震研90型水管傾斜計の開発と観測" 地震研究所彙報. 67. 79-87 (1992)
• [文献書誌] 平和 和朗(山中 佳子): "日本付近の3次元S波速度構造" 地震研究所彙報. 67. 265-302 (1992)
• [文献書誌] 木股 文昭 他: "中部地方南部におけるGPS地殻変動観測" 月刊地球. 14. 384-388 (1992)
• [文献書誌] 平原 和朗: "南西諸島におけるGPS観測成果" 月刊地球. 14. 389-394 (1992)
• [文献書誌] 笠原 稔(市川 隆一): "電波宇宙測地における大気伝搬遅延量" 月刊地球. 14. 395-402 (1992)
• [文献書誌] 加藤 照之: "GPS合同集中観測による成果と意義" 月刊地球. 14. 409-415 (1992)
• [文献書誌] 田中 寅夫(藤森 邦夫): "GPSの連日測定とその誤差" 月刊地球. 14. 420-425 (1992)
• [文献書誌] 三浦 哲: "GPSによる東北日本弧の広域地殻変動観測" 月刊地球. 14. 436-441 (1992)
• [文献書誌] 石井 紘: "これからの地殻変動観測研究と地震予知研究" 地震研究所彙報別冊. 8. 55-62 (1992)
• [文献書誌] 加藤 照之: "GPSによる地殻変動研究" 地震研究所彙報別冊. 8. 63-69 (1992)
• [文献書誌] 辻 宏道: "Establisment of GSI'S regional GPS tracking network for Japan" Bull.Geogr.Surv.Inst.37. 1-14 (1992)
• [文献書誌] 田中 寅夫,加藤 照之: "概論:GPSの地球科学への応用" 月刊地球. 14. 371-372 (1992)
• [文献書誌] 辻 宏道: "日本におけるGPS衛星軌道決定システムの構築" 月刊地球. 14. 373-377 (1992)
• [文献書誌] 島田 誠一 他: "関東・東海GPS固定観測網による地殻変動の観測結果" 月刊地球. 14. 378-383 (1992)