研究分担者 |
柳 哮 九州大学, 理学部, 教授 (90037234)
平林 順一 東京工業大学, 草津白根火山観測所, 助教授 (30114888)
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
浜口 博之 東北大学, 理学部, 教授 (20004385)
加茂 幸介 京都大学, 防災研究所, 教授 (70025328)
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研究概要 |
本研究は、平成2年に噴火を開始した雲仙普賢岳の溶岩ドームの形成とその崩落によって発生する火砕流の実態を把握するために,全国の大学火山測観機関を中心に,総合的合同観測を実施したものである。このような観測は,噴火開始直前より実施し,平成3年5月の溶岩噴出開始の予測に成功した。溶岩の噴出はその後も継続し今日に至っているが,大局的には徐々に減少しつつある。主な研究成果の概要を,以下項目別に述べる。 [地震観測]地震活動は,溶岩噴出開始後低調である。微小地震が,溶岩ドーム内およびその直下浅部で発生してるが,200年前の噴火に関連して山体崩壊を起した眉山一帯では皆無である。 [傾斜連続観測]マグマの共給にともなう山体膨張を把握するために実施してるが,長周期傾斜震動の振幅が,マグマ供給率に対応して変動することが明らかになった。その結果,最盛期の平成3年秋には30数万m^3/日であったが,平成5年1月初旬には1〜2万m^3/日に減少,2月には15〜20万m^3/日に復活していることが伴った。 [地殻変動観測]マグマ溜りの潜在が相定されている西麓が,溶岩噴出開始以沈降を続けていたが,平成4年末頃には停滞した。しかし,山頂部の降起は続いている。 [地磁気観測]依然として熱消磁傾向が続いている。 [火山ガス観察]二酸化イオウ放出量は,最盛期約230t/日であったが,溶岩噴出率の減少に対応し,平成5年1月には約5t/日となった。 [ドーム観察]本年度に第8〜10溶岩ドームが出現,ドーム全体として直径約700m,比高180mに達した。局部崩落によって火砕流も頻発したが,自爆力は低下した。溶岩のSiO_2は,65%から64%に低下し,MgOが2.4%から2.7%に増加する等,苦鉄質化がみられるようになった。
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