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1994 年度 実績報告書

軟弱地盤における地震動の増幅機構と被害の発生メカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04302041
研究機関東京大学

研究代表者

東畑 郁生  東京大学, 工学部, 教授 (20155500)

研究分担者 風間 基樹  東北大学, 工学部, 助教授 (20261597)
柳沢 栄司  東北大学, 工学部, 教授 (10005324)
杉戸 真太  岐阜大学, 工学部, 助教授 (60115863)
片田 敏行  武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (30147897)
岩下 和義  埼玉大学, 工学部, 講師 (40203377)
キーワード地盤の動的挙動 / 応答解析 / 地震 / 減衰比 / せん断剛性
研究概要

既往の地盤の地震応答解析法が、軟弱地盤において振動を過小評価することを最大の問題としてきた。前年度までの活動で、軟弱地盤は硬い地盤よりゆれやすい、と考えなければ被害の実態、あるいは過去の地震記録にあわないことも判明していた。そこで今年度は2とおりの解析方法を開発、あるいは提案した。
第一の方法は、既往の等価線形化手法に周波数依存性の考えを取り込んだ。不規則な地震時加速度には低周波から高周波まで、多くの成分が含まれている。低周波成分は変位やひずみを大きくし、高周波成分は最大加速度を発生する。また土の剛性や減衰比はひずみ振幅に依存する。大ひずみほど剛性は小さく減衰は激しい。従来の等価線形化解析では、算出された最大ひずみにもとづいて剛性と減衰比を調節してきた。そのためひずみの大きい低周波成分も歪の小さい高周波成分も、一律に同じ剛性と減衰比を与えられていた。最大加速度を与える高周波成分が、歪は小さいにもかかわらず、低周波成分の大きな歪に影響されて過大な減衰を与えられてきた。その結果、最大加速度は過小評価された。
新しい手法では、周波数成分ごとに歪を評価し、それに応じて剛性と減衰比とを独立に決定している。高周波成分の減衰比は小さくなり、最大加速度をより妥当に評価できるようになった。
第二の方法では、地層の連続性という概念を導入した。沖積地盤は過去1万年あまりの連続した堆積作用の結果できた。堆積した土質は、一時的な洪水堆積物を除くと、連続である。土の年齢も連続であり、有効応力も深さ方向に連続である。したがって、土の動的性質は深さ方向に変化はしても連続である。この連続性が当てはまらないのは、地質学でいう不整合部分である。既往の解析では地盤を層や要素に分割し、層間では物性が連続していない。そのため余分な波動反射が起こり、振動エネルギーが地表まで到達しにくくなっている。そしてその度合は高周波ほど著しい。
新しい解析では剛性が深さ方向に連続するものとしている。剛性を深さのべき関数としてあたえ、地盤振動の微分方程式を解析的に解いた。それによると、地表付近に軟弱層が厚く存在しているときほど、連続性を考慮したことによる増幅特性の増加が著しい。現在までに減衰比も考慮した解析理論ができており、今後不規則振動と土の非線形性を考慮に入れていきたい。
以上の成果は今後の事例研究を通じ、有効性の確立に努めていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 杉戸真太: "平成5年釧路沖地震によるピ-ト地盤における鉄道被害と常時微動特性との関係" 軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集. 233-240 (1994)

  • [文献書誌] 柳澤栄司: "一斉微動観測の概要" 軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集. 59-68 (1994)

  • [文献書誌] 風間基樹: "釧路西港区での微動観測" 軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集. 112-121

  • [文献書誌] 神山 眞: "表層地盤条件による最大地動(最大加速度、最大速度、最大変位)の増幅特性について" 軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集. 126-137

  • [文献書誌] 年縄 巧: "常時微動から評価された沖績平野の地盤特性" 軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集. 162-169 (1994)

  • [文献書誌] 東畑郁生: "地盤震動解析法の現状と問題点の整理" 軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集. 2-13 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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