研究課題
本年度は、初年度ということもあり、現地調査によって湧水の位置、湧出状態などを確認する作業を実施した。その結果、現地で約60ケ所の湧水地点を確認した。それらの湧水地点は富士山のほぼ全域に分布するものであり、一つの研究グループが短時間に行った調査としては、質・量とも、今まで行われていなかった規模ではないかと考えられる。それらの湧水では、水温、電気伝導度、pHなどの測定を行い、採水したサンプルの分析を行った。その結果、pH、水温などに地域的な違いがみられたほか、一般水質についても、山麓の斜面いよる違いが認められた。これらの湧水地点や、その水質・水温などについてデータベース化を試みるべく検討を開始した。また筑波で行った打ち合わせの会合や、現地調査の際に、安定同位体や放射性同位体による地下水調査の方法などについて検討を行った。これらの調査のためには降水を採取することが不可欠であるので、降水採取装置を現地に設置することになった。富士山周辺は国立公園でもあり、採水器具の設置場所等については環境庁の許可が必要であったので、管地管理事務所との話し合いを行った。(平成5年4月早々に許可申請を行うこととなった。)また採水器具についても技術的な検討を行い、従来のものに改良を加え、器具の製作を行った。次年度は、これらの機材を設置し、降水を採取するとともに、山麓に分布する湧水を一斉に採水する予定であるが、各分担者は、次年度以降の、それぞれの担当項目の作業が円滑に行われるよう、実験機材の整備、現地調査などを実施した。