研究課題
総合研究(A)
本年度は、本研究の最終年度でもあり、今までに採水されたサンプルの分析を終えると共に、データの解析などに重点を置いて、分担者がそれぞれの研究を進めた。そして、三年間の研究成果のとりまとめを行ない、「研究成果報告書」の作成・印刷を行なった。本研究の結果、得られた成果を要約すると以下の通りである。1 富士山周辺の湧水の分布の把握に努め、これを図化した。湧水の分布地域はかなり限定されていることがわかった。2 富士山周辺の湧水の水温形成機構が明らかとなり、地熱の影響が小さいことがわかった。3 富士山周辺の湧水の水質について考察したところ、水質の面から3つの地域に区分できる。1グループはNO_3が豊富で人為的影響が考えられ、他の2グループは田岩の化学組成に由来しているものと思われることが明らかとなった。4 天水の安定同位体組成にもとづき、地下水の〓養高度を求めたところ、標高1000mから標高2000m乃至2400m付近の山体斜面に降る降水が、地下水の〓養に重要な役割を果たしていることがわかった。5 富士山周辺の地下水のトリチウム濃度は高いもので13TVであり一部に古い時代に〓養された水が残されていることがわかった。湧水などのトリチウム濃度は全体として10TVを切るものが多かった。そのほかにも、いろいろ興味ある事実が確認され、考察を進めてきた。その詳細は「研究成果報告書」に掲載する。
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